貞観政要 / 教戒太子諸王
太宗覽而稱善,謂諸王曰:「此宜置於座右,用為立身之本。」
新字:太宗覧而称善,謂諸王曰:「此宜置於座右,用為立身之本。」
書き下し
太宗覧て善しと称し、諸王に謂いて曰く、「此れ宜しく座右に置き、用て立身の本と為すべし」と。
現代語訳
太宗はこれを読んでよしとし、諸王に言った。「これは座右に置き、身を立てる根本とせよ」。
解説
太宗が『自古諸侯王善悪録』を読んで感心し、諸王に「これは座右に置いて、身を立てる根本とせよ」と言った場面です。座右に置く、とは、一度読んで棚にしまうのではなく、いつも目に入る場所に置いて、繰り返し見よ、ということです。人は一度読んだだけの教えを、すぐに忘れてしまいます。忘れないためには、目に入り続ける工夫が要ります。太宗自身も、臣下からの厳しい上奏文を屏風に貼り、毎日目にしていたと伝えられています。良い話を一度聞かせて終わりにするのではなく、繰り返し思い出させる仕組みを作る。これは発想としてまったく同じです。今で言えば、大切にしたい言葉を手帳の表紙に書いておく、家の壁に貼っておく、といったことに当たります。良い教えを届けることと、その教えが届き続けるようにすることは、別の工夫が必要なのです。
この章句が説くこと
宜置於座右用為立身之本繰り返し目に入れる届け続ける工夫