貞観政要 / 尊敬師傅
伏願俯循前躅,稍抑下流,弘遠大之規,展師友之義。則離徽克茂,帝圖斯廣,凡在黎元,孰不慶賴。太子溫良恭儉,聰明睿哲,含靈所悉,臣豈不知。而淺識勤勤,思效愚忠者,願滄溟益潤,日月增華也。
新字:伏願俯循前躅,稍抑下流,弘遠大之規,展師友之義。則離徽克茂,帝図斯広,凡在黎元,孰不慶頼。太子温良恭倹,聰明睿哲,含霊所悉,臣豈不知。而浅識勤勤,思効愚忠者,願滄溟益潤,日月增華也。
書き下し
伏して願わくは俯して前躅に循い、稍(やや)下流を抑え、遠大の規を弘め、師友の義を展(の)べよ。則ち離徽克く茂り、帝図斯に広し。凡そ黎元に在る者、孰か慶賴せざらん。太子は温良恭倹、聡明睿哲なり。含霊の悉く知る所、臣豈に知らざらんや。而れども浅識にして勤勤、愚忠を効(いた)さんことを思う者は、滄溟の益ます潤い、日月の華を増さんことを願えばなり。
現代語訳
伏して願わくは、前の跡に従い、下流に流れるのをやや抑え、遠大な規範を広め、師と友の義を展開してください。そうすれば太子の徳は栄え、帝業の図は広がります。すべての民のうち、誰が喜び頼らないでしょうか。太子は温良恭倹で、聡明で賢明です。命ある者がみな知っていることを、臣が知らないはずがありません。それでも浅い知識で懸命に、愚かな忠を尽くそうとするのは、大海がさらに潤い、日月がさらに輝きを増すことを願うからです。
解説
劉洎の上奏を締めくくる一段です。ここで劉洎は、太子を批判しているのではない、とわざわざ念を押します。「太子は温良恭倹で、聡明で賢明であることは、命あるものすべてが知っている。臣がそれを知らないはずがない」。そのうえで「浅い知恵ながら懸命に意見を申し上げるのは、大海がさらに潤い、日月がさらに輝きを増すことを願うからです」と結びます。すでに十分立派だからこそ、もっと磨いてほしい。批判としてではなく、期待として伝えているのです。同じ「もっとこうしてほしい」という中身でも、頭ごなしに欠点を指摘されると人は身構えますが、「あなたは優れているからこそ、さらに良くなってほしい」と言われれば素直に耳を傾けられます。子どもを叱るときも、部下や後輩に意見するときも、この伝え方は使える工夫です。
この章句が説くこと
願滄溟益潤日月増華批判ではなく期待伝え方の工夫忍耐
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