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貞観政要 / 尊敬師傅

貞觀八年,太宗謂侍臣曰:「上智之人,自無所染,但中智之人無恒,從教而變,況太子師保,古難其選。成王幼小,周、召為保傅。左右皆賢,日聞雅訓,足以長仁益德,使為聖君。秦之胡亥,用趙高作傅,教以刑法,及其嗣位,誅功臣,殺親族,酷暴不已,旋踵而亡。故知人之善惡誠由近習。朕今為太子、諸王精選師傅,令其式瞻禮度,有所裨益。公等可訪正直忠信者,各舉三兩人。」

新字:貞観八年,太宗謂侍臣曰:「上智之人,自無所染,但中智之人無恒,従教而変,況太子師保,古難其選。成王幼小,周、召為保傅。左右皆賢,日聞雅訓,足以長仁益徳,使為聖君。秦之胡亥,用趙高作傅,教以刑法,及其嗣位,誅功臣,殺親族,酷暴不已,旋踵而亡。故知人之善悪誠由近習。朕今為太子、諸王精選師傅,令其式瞻礼度,有所裨益。公等可訪正直忠信者,各舉三両人。」

書き下し

貞観八年、太宗侍臣に謂いて曰く、「上智の人は、自ら染まる所無し。但だ中智の人は恒無く、教に従いて変ず。況んや太子の師保は、古より其の選を難しとす。成王は幼小なるも、周・召は保傅と為る。左右は皆な賢。日々に雅訓を聞く。以て仁を長じ徳を益し、聖君と為らしむるに足れり。秦の胡亥は、趙高を用いて傅と作す。教うるに刑法を以てす。其の位を嗣ぐに及び、功臣を誅し、親族を殺す。酷暴已(や)まず、踵を旋(めぐ)らして亡ぶ。故に知る、人の善悪は誠に近習に由るを。朕は今、太子・諸王の為に師傅を精選す。其れをして礼度を式瞻せしめ、裨益する所有らしむ。公等、正直忠信なる者を訪ね、各々三両人を挙ぐべし」と。

現代語訳

貞観八年、太宗が側近の臣に言った。「最上の知者は、自ら染まることがない。しかし中くらいの知者は定まらず、教えによって変わる。まして太子の師傅は、昔からその人選を難しいとした。成王は幼かったが、周公と召公が保傅となった。周囲はみな賢者で、日々正しい教えを聞いた。それで仁を伸ばし徳を増し、聖君となるに十分だった。秦の胡亥は、趙高を師傅とした。刑法を教えられた。位を継ぐと、功臣を誅し、親族を殺した。残虐は止まず、踵を返す間もなく滅んだ。だから人の善悪は、まことに身近に接する者によると分かる。私は今、太子と諸王のために師傅を精選する。彼らに礼と節度を仰ぎ見させ、益するところがあるようにしたい。諸君は、正直で忠実な者を訪ね、それぞれ二、三人を挙げてくれ」。

解説

「人の善悪は、身近に接する者による」。同じ幼い子でも、周公に育てられれば聖君となり、趙高に育てられれば暴君となる。素質の問題ではありません。誰と日々接するか、なのです。そして「最上の知者は染まらないが、中くらいの人は教えによって変わる」。ほとんどの人は、中くらいなのです。

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