貞観政要 / 択官
書奏,甚嘉納之。
書き下し
書奏す。甚だ之を嘉納す。
現代語訳
上奏文が奉られた。太宗は大いにこれをよしとして受け入れた。
解説
長い上奏文を締めくくる、たった一行です。魏徴はここまで、「良い人材を登用すると十年言い続けて、実現していない」と、政治の失敗そのものを突きつけました。うまくいっていないと面と向かって指摘されるのは、誰にとっても気持ちの良いものではありません。それでも太宗は「大いによしとして受け入れた」とだけ記されます。指摘されなければ、うまくいっていないことにさえ気づけないまま、時間だけが過ぎていきます。家庭で連れ合いから、職場で部下から、耳の痛い指摘を受けた時、まず不快になるのは自然なことです。しかし、そこで素直に受け止められるかどうかで、次に何が変わるかが決まります。この一行の短さの中に、批判を受け止める側の度量の大きさが表れているのです。
この章句が説くこと
甚嘉納之失敗の指摘を受け入れる言うだけで終わらせない