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貞観政要 / 択官

臣聞知臣莫若君,知子莫若父。父不能知其子,則無以睦一家;君不能知其臣,則無以齊萬國。萬國咸寧,一人有慶,必藉忠良作弼,俊乂在官,則庶績其凝,無為而化矣。故堯、舜、文、武見稱前載,咸以知人則哲,多士盈朝,元、凱翼巍巍之功,周、召光煥乎之美。然則四嶽、九官、五臣、十亂,豈惟生之於曩代,而獨無於當今者哉?在乎求與不求,好與不好耳!何以言之?夫美玉明珠,孔翠犀象,大宛之馬,西旅之獒,或無足也,或無情也,生於八荒之表,塗遙萬里之外,重譯入貢,道路不絕者,何哉?蓋由乎中國之所好也。況從仕者懷君之榮,食君之祿,率之以義,將何往而不至哉?臣以為與之為孝,則可使同乎會參、子騫矣。與之為忠,則可使同乎龍逄、比幹矣。與之為信,則可使同乎尾生、展禽矣。與之為廉,則可使同乎伯夷、叔齊矣。

新字:臣聞知臣莫若君,知子莫若父。父不能知其子,則無以睦一家;君不能知其臣,則無以斉万国。万国咸寧,一人有慶,必藉忠良作弼,俊乂在官,則庶績其凝,無為而化矣。故堯、舜、文、武見稱前載,咸以知人則哲,多士盈朝,元、凱翼巍巍之功,周、召光煥乎之美。然則四嶽、九官、五臣、十乱,豈惟生之於曩代,而独無於当今者哉?在乎求与不求,好与不好耳!何以言之?夫美玉明珠,孔翠犀象,大宛之馬,西旅之獒,或無足也,或無情也,生於八荒之表,塗遙万里之外,重訳入貢,道路不絶者,何哉?蓋由乎中国之所好也。況従仕者懐君之栄,食君之祿,率之以義,将何往而不至哉?臣以為与之為孝,則可使同乎会参、子騫矣。与之為忠,則可使同乎竜逄、比幹矣。与之為信,則可使同乎尾生、展禽矣。与之為廉,則可使同乎伯夷、叔斉矣。

書き下し

臣聞く、臣を知るは君に若(し)くは莫し。子を知るは父に若くは莫し、と。父にして其の子を知る能わずんば、則ち以て一家を睦(むつ)まじくする無し。君にして其の臣を知る能わずんば、則ち以て万国を斉しくする無し。万国咸な寧く、一人慶び有るは、必ず忠良の弼と作るを藉る。俊乂官に在らば、則ち庶績其れ凝(な)り、無為にして化せん。故に堯・舜・文・武は前載に称せらる。咸な人を知るを以て則ち哲なり。多士は朝に盈つ。元・凱は巍巍たるの功を翼(たす)け、周・召は煥乎たるの美を光らす。然らば則ち四岳・九官・五臣・十乱は、豈に惟だ之を曩代に生じて、独り当今に無からんや。求むると求めざると、好むと好まざるとに在るのみ。何を以て之を言うや。夫れ美玉明珠、孔翠犀象、大宛の馬、西旅の獒(ごう)は、或いは足無きなり、或いは情無きなり。八荒の表に生じ、塗(みち)は万里の外に遥かなり。重訳して貢に入り、道路絶えざるは、何ぞや。蓋し中国の好む所に由ればなり。況んや仕うる者は君の栄を懐い、君の禄を食む。之を率いるに義を以てせば、将に何くに往くとして至らざらんや。臣以為えらく、之と孝を為さば、則ち曾参・子騫に同じからしむべし。之と忠を為さば、則ち龍逄・比干に同じからしむべし。之と信を為さば、則ち尾生・展禽に同じからしむべし。之と廉を為さば、則ち伯夷・叔斉に同じからしむべし、と。

現代語訳

臣はこう聞いております。臣下を知るのは君主に及ぶ者がなく、子を知るのは父に及ぶ者がない、と。父が子を知ることができなければ、一家を睦まじくできません。君主が臣下を知ることができなければ、万国を斉しくできません。万国がみな安らかで、一人の君主が喜ぶのは、必ず忠良な補佐によります。優れた者が官にあれば、諸事は成り、何もせずとも教化されます。だから堯・舜・文王・武王は古書に讃えられました。みな人を知ることで賢明だったのです。多くの士が朝廷に満ち、八元・八凱は偉大な功を助け、周公・召公は輝かしい美を照らしました。であれば、四岳・九官・五臣・十乱のような者が、昔の時代にだけ生まれて、今の世にはいないのでしょうか。求めるか求めないか、好むか好まないかにかかっているだけです。なぜそう言えるのか。美しい玉や真珠、孔雀や犀の角、大宛の馬、西方の猛犬は、足がなかったり、心がなかったりします。八方の果てに生まれ、道は万里の彼方です。何度も通訳を重ねて貢がれ、道が絶えないのはなぜか。中国が好むからです。まして仕える者は、君主の栄誉を慕い、君主の禄を食む。義をもって率いれば、どこへ行っても至らないことがありましょうか。臣が思いますに、共に孝を行えば、曾参や閔子騫と同じにできる。共に忠を行えば、関龍逄や比干と同じにできる。共に信を行えば、尾生や柳下恵と同じにできる。共に廉を行えば、伯夷や叔斉と同じにできるのです。

解説

「万里の彼方から、珍宝が絶えず届く。なぜか。中国が好むからだ」。この論法が見事です。本当に欲しいものは、遠くからでも集まってくる。人材が集まらないのは、本気で求めていないからだ、と。そして「共に孝を行えば、曾参と同じにできる」。人材は探すだけでなく、育つものだという視点も入っています。

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