貞観政要 / 択官
貞觀二年,太宗謂房玄齡、杜如晦曰:「公為僕射,當助朕憂勞,廣聞耳目,求訪賢哲。比聞公等聽受辭訟,日有數百。此則讀符牒不暇,安能助朕求賢哉?」因敕尚書省,細碎務皆付左右丞,惟冤滯大事合聞奏者,關於僕射。
新字:貞観二年,太宗謂房玄齢、杜如晦曰:「公為僕射,当助朕憂労,広聞耳目,求訪賢哲。比聞公等聴受辞訟,日有数百。此則読符牒不暇,安能助朕求賢哉?」因勅尚書省,細砕務皆付左右丞,惟冤滞大事合聞奏者,関於僕射。
書き下し
貞観二年、太宗房玄齢・杜如晦に謂いて曰く、「公は僕射と為る。当に朕を助けて憂労し、広く耳目を聞き、賢哲を求訪すべし。比(このごろ)聞く、公等は辞訟を聴受すること、日に数百有りと。此れ則ち符牒を読むに暇あらず。安くんぞ能く朕を助けて賢を求めんや」と。因りて尚書省に敕す、細砕の務は皆な左右の丞に付し、惟だ冤滞の大事にして聞奏に合う者のみ、僕射に関せしむ、と。
現代語訳
貞観二年、太宗が房玄齢と杜如晦に言った。「あなたがたは僕射である。私を助けて憂い労し、広く見聞を集め、賢者を探し求めるべきだ。近頃聞くところでは、あなたがたは訴訟を聞くのに、一日に数百件もあるという。それでは書類を読む暇もない。どうして私を助けて賢者を求められようか」。そこで尚書省に勅を下した。細かい事務はすべて左右の丞に任せ、ただ冤罪や滞留の大事で奏上すべきものだけを、僕射に回せ、と。
解説
宰相が一日に数百件もの訴え事を裁いている。忙しく働いているのは間違いありません。しかし太宗は「それでは賢い人を探す暇がない」と言い切ります。目の前の仕事に追われていると、いちばん大事な仕事、つまり誰に任せるかを見極めることができなくなってしまう。人を見つけることは、急いでいなくても、いちばん重要な仕事です。だから太宗は、細かい事務を副官に任せ、宰相には本当に大きな案件だけを回すよう、仕組みそのものを改めました。これは今の暮らしにもそのまま当てはまります。目の前の用事に追われて、家族との時間や、これから先を左右する大事な相談を後回しにしてしまうことは、誰にでもあります。忙しさを理由にして、本当に大切なことを先延ばしにしてはいけないのです。
この章句が説くこと
読符牒不暇安能助朕求賢細砕務は下に忙しさは言い訳にならない公正人事
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