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貞観政要 / 納諫

太宗謂玄素曰:「卿以我不如煬帝,何如桀、紂?」對曰:「若此殿卒興,所謂同歸於亂。」太宗嘆曰:「我不思量,遂至於此。」顧謂房玄齡曰:「今玄素上表,洛陽實亦未宜修造,後必事理須行,露坐亦復何苦?所有作役,宜即停之。然以卑干尊,古來不易,非其忠直,安能如此?且眾人之唯唯,不如一士之諤諤。可賜絹二百匹。」魏徵嘆曰:「張公遂有回天之力,可謂仁人之言,其利溥哉!」

新字:太宗謂玄素曰:「卿以我不如煬帝,何如桀、紂?」対曰:「若此殿卒興,所謂同歸於乱。」太宗嘆曰:「我不思量,遂至於此。」顧謂房玄齡曰:「今玄素上表,洛陽実亦未宜修造,後必事理須行,露坐亦復何苦?所有作役,宜即停之。然以卑干尊,古来不易,非其忠直,安能如此?且眾人之唯唯,不如一士之諤諤。可賜絹二百匹。」魏徴嘆曰:「張公遂有回天之力,可謂仁人之言,其利溥哉!」

書き下し

太宗玄素に謂いて曰く、「卿は我を以て煬帝に如かずとす。桀・紂に何如」と。対えて曰く、「若し此の殿卒に興らば、所謂る同じく乱に帰せん」と。太宗嘆じて曰く、「我は思量せず、遂に此に至る」と。顧みて房玄齢に謂いて曰く、「今、玄素表を上る。洛陽は実に亦た未だ修造するに宜しからず。後に必ず事理として須らく行うべくんば、露坐するも亦復た何ぞ苦しまん。有る所の作役は、宜しく即ち之を停むべし。然れども卑を以て尊を干(おか)すは、古来易からず。其の忠直に非ずんば、安くんぞ能く此くの如くならんや。且つ衆人の唯唯たるは、一士の諤諤たるに如かず。絹二百匹を賜うべし」と。魏徴嘆じて曰く、「張公は遂に天を回(めぐ)らすの力有り。仁人の言と謂うべし。其の利は溥(ひろ)きかな」と。

現代語訳

太宗は張玄素に言った。「あなたは私を煬帝に及ばないと言う。では桀や紂と比べてどうか」。答えて言った。「もしこの殿がついに造られたなら、同じく乱に帰することになりましょう」。太宗は嘆じて言った。「私はよく考えず、ついにここまで来てしまった」。そして房玄齢を顧みて言った。「今、玄素が上表した。洛陽は確かにまだ修造すべきではない。後に事情として必要になったなら、野天に座ってもかまうものか。工事はすべて、ただちに中止せよ。しかし、卑しい身分の者が尊い者を諫めるのは、昔から容易ではない。その忠実さと正直さがなければ、こうはできない。そもそも多くの人が『はいはい』と言うのは、一人の士が正論をぶつけるのに及ばない。絹二百匹を賜え」。魏徴は嘆じて言った。「張公にはついに天を回す力があった。仁ある人の言葉というべきだ。その利益は広い」。

解説

「衆人の唯唯たるは、一士の諤諤たるに如かず」。この一句が有名な一段です。百人の同意より、一人の反論。そして太宗の反応が見事です。「私はよく考えず、ここまで来てしまった」。認めた上で、即座に中止させ、さらに褒美を与えました。認める、止める、報いる。この三つが揃って初めて、諫言は生きるのです。

この一句を、あなたの毎日に。

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