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貞観政要 / 求諫

貞觀十六年,太宗謂房玄齡等曰:「自知者明,信為難矣。如屬文之士,伎巧之徒,皆自謂己長,他人不及。若名工文匠,商略詆訶,蕪詞拙跡,於是乃見。由是言之,人君須得匡諫之臣,舉其愆過。一日萬機,一人聽斷,雖復憂勞,安能盡善?常念魏徵隨事諫正,多中朕失,如明鏡鑒形,美惡必見。」因舉觴賜玄齡等數人勖之。

新字:貞観十六年,太宗謂房玄齡等曰:「自知者明,信為難矣。如属文之士,伎巧之徒,皆自謂己長,他人不及。若名工文匠,商略詆訶,蕪詞拙跡,於是乃見。由是言之,人君須得匡諫之臣,舉其愆過。一日万機,一人聴断,雖復憂労,安能尽善?常念魏徴随事諫正,多中朕失,如明鏡鑒形,美悪必見。」因舉觴賜玄齡等数人勖之。

書き下し

貞観十六年、太宗房玄齢等に謂いて曰く、「自ら知る者は明なり。信に難しと為すか。文を属(つづ)るの士、伎巧の徒の如きは、皆な自ら己が長と謂い、他人は及ばずとす。若し名工文匠、商略詆訶(しょうりゃくていか)せば、蕪詞拙跡(ぶしせっせき)、是に於いて乃ち見(あら)わる。是に由りて之を言えば、人君は須らく匡諫の臣を得て、其の愆過(けんか)を挙ぐべし。一日万機、一人にて聴断すれば、復た憂労すと雖も、安くんぞ能く尽く善からんや。常に念う、魏徴は事に随いて諫正し、多く朕の失に中(あた)る。明鏡の形を鑒(かんが)み、美悪必ず見(あら)わるるが如し」と。因りて觴を挙げて玄齢等数人に賜いて之を勖(つと)めしむ。

現代語訳

貞観十六年、太宗が房玄齢らに言った。「自分を知る者こそ明である。だがこれは本当に難しい。文章を書く者や技巧に長けた者は、みな自分が優れていて、他人は及ばないと思っている。ところが名工や名文家が批評を加えれば、粗雑な言葉や拙い筆跡が、たちまち露わになる。これから言えば、君主は必ず諫める臣を得て、自分の過ちを指摘してもらわねばならない。一日に万もの政務を、一人で聞いて裁決すれば、どれほど心を砕いても、すべてを善くすることなどできようか。私はいつも思う。魏徴は事あるごとに諫めて正し、多くが私の欠点を突いている。澄んだ鏡が姿を映して、美も醜も必ず現れるようなものだ」。そして杯を挙げて房玄齢ら数人に賜い、励ました。

解説

「文章を書く者は、みな自分が優れていると思っている」。この観察が痛烈な一段です。ところが名手が批評すれば、粗さがたちまち露わになる。自分では見えないのです。「自分を知る者こそ明である。だがこれは本当に難しい」。自己評価は、必ず甘くなります。だから外の目が要る。しかも、その目は自分より優れた目でなければ意味がありません。

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