法句経 / 第二十二 地獄の部 三一三〜三一五
三一三 應に作すべきものは是を爲せ、勇健に此を行へ、疎漫なる外道は寧ろ多く塵を揚ぐ。 三一四 惡行は爲さざるを可とす、惡行は後に惱を招く、善行は爲さるゝを可とす、爲して後悔なし。 三一五 邊境の城は内外倶に守るが如く己を護れ、須臾も忽にすべからず。
新字:三一三 応に作すべきものは是を為せ、勇健に此を行へ、疎漫なる外道は寧ろ多く塵を揚ぐ。 三一四 悪行は為さざるを可とす、悪行は後に悩を招く、善行は為さるゝを可とす、為して後悔なし。 三一五 辺境の城は内外倶に守るが如く己を護れ、須臾も忽にすべからず。
書き下し
三一三 応に作すべきものは是を為せ、勇健に此を行へ、疎漫なる外道は寧ろ多く塵を揚ぐ。 三一四 悪行は為さざるを可とす、悪行は後に悩を招く、善行は為さるゝを可とす、為して後悔なし。 三一五 辺境の城は内外倶に守るが如く己を護れ、須臾も忽にすべからず。
現代語訳
なすべきものはこれを為せ。勇ましく健やかにこれを行え。緩やかでだらしのない出家は、かえって多くの塵を巻き上げる。悪しき行いは為さないのがよい。悪しき行いは後に悩みを招く。善き行いは為されるのがよい。為して後悔がない。国境の城を内も外もともに守るように、自分を護れ。わずかの間もおろそかにしてはならない。
解説
三一三の「疎漫なる外道は寧ろ多く塵を揚ぐ」が面白い。中途半端にだらしなくやると、かえって埃が立つ。やるならきちんとやれ、という実務的な忠告である。三一四は悪と善を、後悔という一点で比べる。悪は後に悩みを招き、善は後悔がない。倫理の根拠を、外の裁きではなく本人の後味に置いている。三一五の「邊境の城は内外倶に守るが如く己を護れ」は、国境の城の比喩だ。城は外からの敵だけでなく、内側の裏切りにも備える。自分を護るという作業も同じで、外から来る誘惑と、内から湧く油断の両方に備えがいる。「須臾も忽にすべからず」——ほんの一瞬も気を抜くな。城は、気を抜いた一瞬に落ちるからである。
この章句が説くこと
応に作すべきは是を為せ後悔なし辺境の城内外ともに守る因果応報
関連する章句
-
『法句経』第九 悪行の部 一一六〜一一八 善に急げ一一六 善に急げ、悪に対して心を護れ、福を造りて怠り鈍れば、意は悪行を欣こぶ。 一一七 人若し悪を作すも此を再三する勿れ、悪を楽ふ勿れ、悪の積集は苦なり。 一一八 人若し福を作せば此を再三すべし、福を楽へ、福の積集は楽なり。
-
『法句経』第九 悪行の部 一二三〜一二五 風に逆らって塵を散らす一二三 財多く伴少なき商侶が危難の道を(避くるが)如く、余生を希ふものが毒を(避くるが)如く、人は悪行を避くべし。 一二四 掌に瘡なくんば手にて毒を採るべし、毒は瘡なきものを害はず、(悪を)作さざる人に悪至らず。 一二五 汚れなき人を誣ゆれば、浄く垢なき人を(誣ゆれば)、殃ひ反つて其の愚者に及ぶ、猶ほ風に逆つて微塵を散すが如し。
-
『法句経』第二十二 地獄の部 三一二 大果を得ず三一二 作業怠慢に、所守雑染に、梵行嫌疑あるは(何れも)大果を得ず。
-
『法句経』第十二 己身の部 一六一〜一六三 悪は自より生じて自を壊す一六一 自の造れる、自より生ぜる、自に因る罪は愚者を壊る、猶ほ金剛の宝石を(壊るが)如し。 一六二 人若し少しも戒を持たずんば、蔓の滋れる沙羅樹の如く、自ら敵の欲するまゝに挙動ふ。 一六三 不善と己を益せざることは為し易し、益し且善くある事は甚だ為し難し。
-
『法句経』第二十二 地獄の部 三〇六〜三〇八 我作さずと言ふ者三〇六 不実を語るものは地獄に堕す、或は(自ら悪を)作して我作さずと言ふものも(地獄に堕す)、此両人は死して後等しく他世に於て賤業の人となる。 三〇七 肩に袈裟を纏ふものの多くは悪を行ひ節制なし、(斯かる)悪人は悪業に因りて地獄に堕す。 三〇八 破戒無節制にして国民の施物を受用せんよりは寧ろ火焔の如く灼熱せる鉄丸を食ふべし。
-
『法句経』第二十二 地獄の部 三〇九〜三一一 茅草を執るが如く三〇九 放逸にして他人の婦を犯す人は四事に逢ふ、善からざる名の揚ること、臥して不快なること、第三には毀呰と、第四には地獄なり。 三一〇 彼はよからざる名を得、又悪趣に堕す、而して(自ら)畏れて畏れたる(婦人)と楽むは寡なく、又王は重刑を科す、故に人は他人の婦に狎れ親む可らず。 三一一 譬へば茅草を執るに(其の方)悪しければ手を傷つくが如く、勤苦も悪用せられなば人を地獄に引き入る。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る