法句経 / 第四 華の部 四九・五〇
四九 蜂が華と色と香とを損ぜずに蜜を取りて飛び去る如く、智者の村に乞食するも亦然るべし。 五〇 他の過失と他の作と不作とを(觀るべから)ず、たゞ己の作と不作とを觀るべし。
新字:四九 蜂が華と色と香とを損ぜずに蜜を取りて飛び去る如く、智者の村に乞食するも亦然るべし。 五〇 他の過失と他の作と不作とを(観るべから)ず、たゞ己の作と不作とを観るべし。
書き下し
四九 蜂が華と色と香とを損ぜずに蜜を取りて飛び去る如く、智者の村に乞食するも亦然るべし。 五〇 他の過失と他の作と不作とを(観るべから)ず、たゞ己の作と不作とを観るべし。
現代語訳
蜂が花と色と香を損なわずに蜜を取って飛び去るように、智者が村で乞食するのもまたそうあるべきだ。他人の過失と、他人がしたこと・しなかったことを見るのではなく、ただ自分がしたこと・しなかったことを見るべきである。
解説
蜂の比喩は、托鉢のありようを説いたものだが、受け取り方として広く読める。蜂は蜜を取るが、花は傷まない。色も香も残る。何かを得るときに、相手の側から何も削らないという取り方があるという。相手を消耗させて得たものは、その場では得でも、次がない。続く五〇は、法句経のなかでもっとも実践しやすく、しかしもっとも守りにくい一句だろう。「他の過失と他の作と不作とを觀るべからず、たゞ己の作と不作とを觀るべし」。他人がやったこと、やらなかったことを見るな。自分がやったこと、やらなかったことだけを見よ。特に「不作」——やらなかったこと、が両方に入っているのが効く。人は他人の不作にはよく気づき、自分の不作には気づかない。
この章句が説くこと
蜂と花他の過失を見ず己の作と不作托鉢
関連する章句
-
『仏遺教経』蜂の華を採るが如し汝等比丘、諸の飲食を受くるは、当に薬を服するが如くすべし。好きに於ても悪しきに於ても、増減を生ずること勿かれ。趣かに身を支うるを得て、以て饑渇を除け。蜂の華を採るに、但だ其の味を取りて、色香を損せざるが如く、比丘も亦た爾り。人の供養を受くるは、趣かに自ら悩みを除くのみ。多く求めて、其の善心を壊すこと無かれ。譬えば智者の、牛力の堪うる所の多少を籌量して、分に過ぎしめず、以て其の力を竭くさざるが如し。
-
『法句経』第四 華の部 五一・五二五一 可愛の麗はしき華に香なきが如く、善き教の語も実行せざれば其の果なし。 五二 可愛の麗はしき華に香あるが如く、善き教の語は正しく行へば其の果あり。
-
『法句経』第四 華の部 四七・四八 華を採る人四七 専心に華を採る人を死は捕へ去る、宛も眠れる村人を暴流が(漂蕩する)如くに。 四八 専心に華を採る人を死は制服す、欲に於て飽かざるうちに。
-
『法句経』第四 華の部 五三〜五五 善人の香は風に逆ふ五三 諸の華を聚めて多くの華鬘を造り得べきが如く、人と生れたれば多くの善を作すべし。 五四 華の香は風に逆つて薫らず、栴檀も多掲羅も末利迦も亦然り、しかるに善人の香は風に逆つて薫ず、善士は一切の方に薫る。 五五 栴檀又多掲羅将た又青蓮華、跋師吉の其等の香も戒の香に如かじ。
-
『法句経』第四 華の部 五六〜五九 塵芥の中の蓮華五六 多掲羅や栴檀の香は微小なり、具戒者の香は諸天の間に薫じて比類なし。 五七 戒を具へ、不放逸に住し、正知解脱のものには魔羅便りを得ず。 五八 大道に遺棄せられたる塵芥聚の中に芳香悦意の蓮華生ずる如く、 五九 是の如く塵芥に等しき盲ひたる凡夫の中に正自覚者の弟子は慧明を以て顕はる。
-
『法句経』第十八 塵垢の部 二五二・二五三二五二 他の過失は見易けれど自の(過失は)見難し、他の過失は穅秕の如く簸颺すれど、自の(過失)は狡猾なる博徒が不利の骰子の目を隠すが如くす。 二五三 人若し他人の過失を覔め、常に軽侮すれば彼の心穢増長す、心穢尽を去ること遠し。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る