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呉子 / 応変篇

武侯問曰:「若敵眾我寡,為之柰何?」起對曰:「避之於易,邀之於阨。故曰:以一擊十,莫善於阨;以十擊百,莫善於險;以千擊萬,莫善於阻。今有少年卒起,擊金鳴鼓於阨路,雖有大眾,莫不驚動。故曰:用眾者務易,用少者務隘。」

新字:武侯問曰:「若敵眾我寡,為之柰何?」起対曰:「避之於易,邀之於阨。故曰:以一擊十,莫善於阨;以十擊百,莫善於険;以千擊万,莫善於阻。今有少年卒起,擊金鳴鼓於阨路,雖有大眾,莫不驚動。故曰:用眾者務易,用少者務隘。」

書き下し

武侯問いて曰く、若し敵衆く我寡なくば、之を奈何せん、と。起対えて曰く、之を易に避け、之を阨に邀う。故に曰く、一を以て十を撃つは、阨より善きは莫し。十を以て百を撃つは、険より善きは莫し。千を以て万を撃つは、阻より善きは莫し、と。今少年の卒かに起ち、金を撃ち鼓を鳴らすこと阨路に於てすること有らば、大衆有りと雖も、驚き動かざるは莫し。故に曰く、衆を用うる者は易に務め、少を用うる者は隘に務む、と。

現代語訳

武侯が尋ねた。敵が多く、こちらが少ない場合はどうすればよいか。呉起が答えて言った。平坦な土地では戦いを避け、狭い難所で待ち受けて迎え撃つのです。だからこう言われます。一で十を撃つには狭い隘路にまさるものはなく、十で百を撃つには険しい地にまさるものはなく、千で万を撃つには険阻な地形にまさるものはない、と。いま、少数の若者が狭い道で突然立ち上がり、鉦を打ち太鼓を鳴らしたなら、相手がどれほどの大軍であっても、驚き動揺しない者はいません。だからこう言うのです。大軍を用いる者は平坦な地を求め、少数を用いる者は狭隘な地を求める、と。

解説

数で劣るときどうするか。呉起の答えは、戦う場所を選べ、です。広く平らな場所では数の多い側が有利になる。だから少数の側は、大軍が数を活かせない狭い場所に相手を引き込んで待ち受ける。一で十に、十で百に、千で万に当たれるのは、地形が数の優位を無効化するからです。「衆を用うる者は易に務め、少を用うる者は隘に務む」——大きい側は開けた場所を、小さい側は狭い場所を選ぶ。この一句が結論です。ビジネスに置き換えれば、これはニッチ戦略そのものです。資源で劣る側が大手と同じ土俵で正面から競えば、まず勝てません。勝負すべきは、規模の力が効かない領域、大手が展開しにくい狭い領域です。逆に規模のある側は、標準化と量が効く広い市場で戦うのが理にかなう。自分たちがどちら側なのかを自覚し、それに合った戦場を選ぶ。負けない条件を先に整えることが、少数側の生命線になります。

この一句を、あなたの毎日に。

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