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呉子 / 料敵篇

武侯問曰:「吾欲觀敵之外以知其內,察其進以知其止,以定勝負,可得聞乎?」起對曰:「敵人之來,蕩蕩無慮,旌旗煩亂,人馬數顧,一可擊十,必使無措。諸侯大會,君臣未和,溝壘未成,禁令未施,三軍匈匈,欲前不能,欲去不敢,以半擊倍,百戰不殆。」

新字:武侯問曰:「吾欲観敵之外以知其內,察其進以知其止,以定勝負,可得聞乎?」起対曰:「敵人之来,蕩蕩無慮,旌旗煩乱,人馬数顧,一可擊十,必使無措。諸侯大会,君臣未和,溝塁未成,禁令未施,三軍匈匈,欲前不能,欲去不敢,以半擊倍,百戦不殆。」

書き下し

武侯問いて曰く、「吾、敵の外を観て以て其の内を知り、其の進むを察して以て其の止まるを知り、以て勝負を定めんと欲す。得て聞くべきか」と。起対えて曰く、「敵人の来たるや、蕩蕩として慮り無く、旌旗煩乱し、人馬数しば顧みば、一以て十を撃つべく、必ず措く所無からしめん。諸侯大いに会するも、君臣未だ和せず、溝塁未だ成らず、禁令未だ施されず、三軍匈匈として、前まんと欲するも能わず、去らんと欲するも敢えてせずんば、半を以て倍を撃ちて、百戦して殆うからず」と。

現代語訳

武侯が尋ねた。「私は敵の外に現れた様子から内情を知り、その進み方から止まり方を察して、勝敗を判断したい。それを聞かせてもらえるか」。呉起は答えた。「敵がやってくるとき、締まりがなく思慮がなく、旗印は乱れ、人も馬もしきりに後ろを振り返っているなら、一で十を撃つことができ、相手を手も足も出ない状態にできます。諸侯が大挙して集まっていても、君臣の心が和しておらず、堀や塁もまだできておらず、禁令もまだ行き渡らず、全軍がざわついて、前に進みたくても進めず、退きたくても退けないでいるなら、半分の兵で二倍の敵を撃っても、百度戦って危ういことはありません」。

解説

外に現れた様子から、組織の内情を読む方法を説いた一段です。呉起が挙げる兆候は、どれも具体的です。旗印が乱れている、人も馬もしきりに後ろを振り返る。これは規律の緩みと不安の表れです。数だけ集まっていても、上下の心が和していない、準備が終わっていない、ルールが行き渡っていない、全体がざわついて進むことも退くこともできない。こうした状態なら、数の差は意味をなさない。この観察眼は、そのまま組織診断に使えます。会議の空気、現場の目線、資料の乱れ、誰も決められない停滞感。表に出る小さな乱れは、たいてい内側の問題の兆候です。逆に言えば、自分たちの組織がこうした兆候を出していないかを、外から見る目で点検する価値があります。人数を集め、体裁を整えても、心が和していなければ実力の半分も出ません。見た目の規模より、内側の整いのほうが、はるかに強さを左右するのです。

この一句を、あなたの毎日に。

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