言志四録 / 南洲手抄
英氣是天地精英之氣。聖人薀之於内、不肯露諸外。賢者則時時露之。自餘豪傑之士、全然露之。若夫絶無此氣者、爲鄙夫小人、碌碌不足算者爾。
新字:英気是天地精英之気。聖人薀之於内、不肯露諸外。賢者則時時露之。自余豪傑之士、全然露之。若夫絶無此気者、為鄙夫小人、碌碌不足算者爾。
書き下し
英気は是れ天地精英の気なり。聖人は之を内に薀めて、肯て諸を外に露はさず。賢者は則ち時時之を露はす。自餘豪傑の士は、全然之を露はす。夫の絶えて此気なき者の若きは、鄙夫小人と為す、碌碌として算ふるに足らざるもののみ。
現代語訳
英気(すぐれた気概)は、天地の精髄が凝った気である。聖人はこれを内に蔵めて、あえて外に現さない。賢者は時おりこれを現す。それ以外の豪傑の士は、まるごと外に現す。もしまったくこの気を欠く者がいれば、それは卑しい小人であり、平々凡々として数えるにも足りない者にすぎない。
解説
「英気(気概)」の現し方によって、人物の格を段階づけた一条です。天地の精髄たる英気を、聖人は内に秘めて外に見せず、賢者は時おり見せ、豪傑はまるごと外に出す。そして、そもそも英気のかけらもない者は「数えるにも足りない小人」だと切り捨てます。六十八番の「英気は必要だが角を露わにするな」と対をなし、英気そのものは尊く、ただその現し方に格の差が出るのだと説きます。つまり、気概を持つのは大前提で、それを内に湛えられるほど格が高い。覇気のなさを戒めつつ、成熟とは気概を内に秘める力だと示す、格調高い一条です。
この章句が説くこと
英気気概器の大きさ内に秘める