言志四録 / 南洲手抄
前人、謂英氣害事。余則謂、英氣不可無、但露圭角爲不可。
新字:前人、謂英気害事。余則謂、英気不可無、但露圭角為不可。
書き下し
前人は、英気は事を害すと謂へり。余は則ち謂ふ、英気は無かる可らず、但だ圭角を露はすを不可と為すと。
現代語訳
昔の人は「才気(英気)は事を損なう」と言った。だが私はこう思う。才気はなくてはならないものだ。ただ、その角(かど)をむき出しにするのがよくないだけだ、と。
解説
「才気は害になる」という通説に、一斎が独自の修正を加えた一条です。昔の人は才気鋭さが物事を損なうと戒めましたが、一斎は「才気そのものは必要だ」と言い切ります。問題は才気があることではなく、その角(圭角)をむき出しにして人を刺すこと。つまり、才能や鋭さは殺すのではなく、角を包んで用いよ、というのです。九十二番でも「聖人は英気を内に蔵める」と説かれます。才を抑え込む消極論でも、才をひけらかす傲慢でもなく、才を持ちつつ角を丸める——才能との成熟した付き合い方を示す、バランスの取れた一条です。
この章句が説くこと
英気圭角才能謙抑
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