言志四録 / 南洲手抄
心理是豎工夫、愽覽是横工夫。豎工夫、則深入自得。横工夫、則淺易汎濫。
新字:心理是豎工夫、愽覧是横工夫。豎工夫、則深入自得。横工夫、則浅易汎濫。
書き下し
心理は是れ竪の工夫なり、博覧は是れ横の工夫なり。竪の工夫は、則ち深入自得せよ。横の工夫は、則ち浅易汎濫なれ。
現代語訳
心の道理を究めるのは「竪(縦・深さ)」の工夫であり、広く書物を読みあさるのは「横(広さ)」の工夫である。竪の工夫は、深く入り込んで自ら会得せよ。横の工夫は、(ほどほどに)浅く広く流し読みでよい。
解説
学びの「深さ(竪)」と「広さ(横)」に、優先順位をつけた一条です。十九番で知性を竪と横に分けた一斎は、ここで実践の指針を示します。心の道理を究める竪の工夫は「深く入り込んで自得せよ」と力を込める一方、広く読みあさる横の工夫は「浅く広くでよい」と軽く扱う。つまり、一つを深く掘る学びに主軸を置き、広く浅い読書は補助と位置づけるのです。あれもこれもと手を広げて浅くなりがちな私たちに、まず一つを深く自得せよと重心を示します。情報過多の時代に、学びの優先順位を教えてくれる実践的な一条です。
この章句が説くこと
竪と横深く自得博覧学びの優先順位
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