言志四録 / 南洲手抄
閑想客感、由志之不立。一志既立、百邪退聽。譬之清泉湧出、旁水不得渾入。
新字:閑想客感、由志之不立。一志既立、百邪退聴。譬之清泉湧出、旁水不得渾入。
書き下し
閑想客感は、志の立たざるに由る。一志既に立てば、百邪退き聴く。之を清泉湧出せば、旁水渾入することを得ざるに譬ふべし。
現代語訳
とりとめのない雑念や外から入り込む誘惑は、志が立っていないことから生じる。ひとたび志が定まれば、あらゆる邪念は退いて従う。それはちょうど、清らかな泉が湧き出せば、まわりの濁った水は入り込めなくなるのと同じである。
解説
雑念を断つ根本は「志を立てること」だと説く一条です。心にわいてくる無用な想念(閑想)や、外から忍び込む誘惑(客感)は、心に確かな志がないから隙間を埋めてくるのだ、と一斎は見抜きます。だから雑念を一つひとつ追い払おうとするより、たった一つの志を打ち立てよ。清泉がこんこんと湧けば濁り水がおのずと入れないように、志が満ちれば邪念は自然に退く。集中力や誘惑を意志の力で抑え込もうとしがちな私たちに、根本は「湧き出る目的」を持つことだと教えてくれる、実践的な一条です。
この章句が説くこと
立志雑念集中清泉
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