言志四録 / 南洲手抄
一部歴史、皆傳形迹、而情實或不傳。讀史者、須要就形迹以討出情實。
新字:一部歴史、皆伝形迹、而情実或不伝。読史者、須要就形迹以討出情実。
書き下し
一部の歴史、皆形迹を伝へて、情実或は伝らず。史を読む者は、須らく形迹に就いて以て情実を討ね出だすことを要すべし。
現代語訳
すべての歴史書は、出来事の表面的な跡(形迹)を伝えるが、その裏の真実(情実)は伝わらないことがある。歴史を読む者は、表面の事跡を手がかりに、そこから真相を探り出さなければならない。
解説
歴史の読み方を説いた一条です。歴史書に記されるのは、いつ何が起きたかという「形迹」=出来事の外形にすぎず、なぜそうしたのかという人間の真情や真相=「情実」は、しばしば行間に隠れて伝わりません。だから読者は、記された事実を手がかりに、その奥の動機や実相を能動的に探り出せ、と一斎は言います。表面の情報をなぞるだけでなく、その背後を読む——これは歴史に限らず、ニュースやデータに接する現代のリテラシーそのものです。書かれていないものを読む力を養えという教えです。
この章句が説くこと
歴史読解力行間を読むリテラシー
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