易経 / 雑卦
《乾》剛《坤》柔。《比》樂《師》憂。《臨》《觀》之義,或與或求。《屯》見而不失其居。《蒙》雜而著。《震》,起也。《艮》,止也。《損》《益》,盛衰之始也。《大畜》,時也。
新字:《乾》剛《坤》柔。《比》楽《師》憂。《臨》《観》之義,或与或求。《屯》見而不失其居。《蒙》雑而著。《震》,起也。《艮》,止也。《損》《益》,盛衰之始也。《大畜》,時也。
書き下し
乾は剛にして坤は柔なり。比は楽しみ師は憂う。臨と観との義は、或いは与え或いは求む。屯(ちゅん)は見(あらわ)れて其の居を失わず。蒙(もう)は雑(まじ)わりて著(あらわ)る。震は、起こるなり。艮(ごん)は、止まるなり。損と益とは、盛衰の始めなり。大畜は、時なり。
現代語訳
乾は剛強であり、坤は柔順です。比は親しみ集まって楽しく、師は軍を率いて憂いを抱えます。臨と観の意味あいは、一方は与え、一方は求めるという違いにあります。屯は芽が現れ出ながらも、なおその居場所を失いません。蒙は入り混じって、そこからはっきりと現れてきます。震は、動き起こることです。艮は、止まることです。損と益は、衰えと盛んさが始まる分かれ目です。大畜は、時を待って蓄えることです。
解説
雑卦伝は、六十四卦を対になる概念で並べ、一言二言で性格を言い切っていく短い文章です。乾は剛、坤は柔。比は楽しく、師は憂う。臨は与え、観は求める。長い説明を捨てて対句で切り取ることで、それぞれの卦の輪郭がくっきり浮かび上がります。ここで働いているのは、世界を対になる二つの言葉でつかまえる思考法です。剛と柔、動と静、盛と衰。損と益を「盛衰の始め」と呼ぶ言い方には、減ることと増えることがそれぞれ次の局面の入口だという見方が込められています。仕事の場面でも、ある方針を評価するときに、その反対側にある性質と並べてみると、輪郭がはっきりします。攻めか守りか、与えるか求めるか。一つの言葉だけで考えず、対をつくって並べてみる。それだけで判断が立体的になります。