易経 / 序卦
《姤》者,遇也。物相遇而後聚,故受之以《萃》。《萃》者,聚也。聚而上者謂之升,故受之以《升》。升而不已必困,故受之以《困》。困乎上者必反下,故受之以《井》。井道不可不革,故受之以《革》。
書き下し
姤(こう)とは、遇うなり。物相遇いて而る後に聚(あつ)まる、故に之を受くるに萃(すい)を以てす。萃とは、聚まるなり。聚まりて上る者、之を升と謂う、故に之を受くるに升を以てす。升りて已まざれば必ず困(くる)しむ、故に之を受くるに困を以てす。上に困しむ者は必ず下に反る、故に之を受くるに井(せい)を以てす。井の道は革(あらた)めざるべからず、故に之を受くるに革を以てす。
現代語訳
姤とは、思いがけず出会うことです。物と物とが出会って、その後に集まります。だから次に萃の卦を置きます。萃とは、集まることです。集まって上へ昇っていくことを升といいます。だから次に升の卦を置きます。昇り続けてやまなければ、必ず行き詰まって苦しみます。だから次に困の卦を置きます。上で苦しむ者は、必ず下へ返ってきます。だから次に井の卦を置きます。井戸のあり方は、いつか改めなければなりません。だから次に革の卦を置きます。
解説
出会い(姤)から人や物が集まり(萃)、集まったものは上へ昇っていき(升)、昇り続ければ必ず行き詰まって苦しみ(困)、上で苦しんだ者は下へ返って井戸に立ち返り(井)、井戸は汲み続ければ濁るのでいつか改める(革)。出会いから改革までを一続きに描いた、密度の高い連鎖です。井は、動かない場所にあって人を養い続けるものの象徴とされます。上昇が行き詰まったときに立ち返る先が、この井戸だという配置が印象的です。組織でも、拡大が頭打ちになったとき、立ち返るべきは足元の仕組みや、変わらず顧客を養ってきた基盤のほうです。そしてその基盤も、放っておけば澱む。だからこそ改める必要がある。上へ伸びることばかりでなく、下へ返って汲み直す動きを持てるかどうかが問われます。
この章句が説くこと
易経序卦伝姤萃困井
関連する章句
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易経・序卦蹇(けん)とは、難きなり。物は以て終に難かるべからず、故に之を受くるに解(かい)を以てす。解とは、緩むなり。緩めば必ず失う所有り、故に之を受くるに損を以てす。損して已(や)まざれば必ず益す、故に之を受くるに益を以てす。益して已まざれば必ず決す、故に之を受くるに夬(かい)を以てす。夬とは、決するなり。決すれば必ず遇うこと有り、故に之を受くるに姤(こう)を以てす。
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易経・姤卦周易 第四十四卦。巽下乾上。易経。姤(こう)は、女壮んなり、女を取るに用ゐる勿かれ。初六、金柅(きんじ)に系(つな)ぐ、貞にして吉。往く攸有れば凶を見る。羸豕(るいし)孚(まこと)に踟躅(ちちょく)す。九二、包(つと)に魚有り、咎无し、賓に利あらず。九三、臀に膚无く、其の行くこと次且たり、厲ふけれども大いなる咎无し。九四、包に魚无し、起(た)てば凶。九五、杞(き)を以て瓜を包む、章を含む、天より隕(お)つる有り。上九、其の角に姤(あ)ふ、吝なれども咎无し。彖に曰く、
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易経・彖伝姤(こう)は、遇(ぐう)なり。柔の剛に遇(あ)うなり。「女を取(めと)るに用うる勿(なか)れ」とは、与(とも)に長かるべからざればなり。天地相遇いて、品物咸(ことごと)く章(あき)らかなり。剛、中正に遇いて、天下大いに行わる。姤の時義、大なるかな。
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易経・萃卦周易 第四十五卦。坤下兌上。易経。萃(すい)は、亨る。王有廟に假(いた)る。大人を見るに利あり、亨る。貞に利あり。大牲を用ゐて吉、往く攸有るに利あり。初六、孚有れども終へず、乃ち乱れ乃ち萃(あつ)まる。若(も)し号べば一握して笑ひと為る、恤ふる勿かれ、往けば咎无し。六二、引かるれば吉にして咎无し、孚あれば乃ち禴(やく)を用ゐるに利あり。六三、萃如たり、嗟如(さじょ)たり、利しき攸无し、往けば咎无きも、小しく吝。九四、大吉にして咎无し。九五、萃むるに位有り、咎无し。孚とせられざれば、元いに永く貞にすれば、悔亡ぶ。上六、齎咨涕洟(せいしていい)す、咎无し。彖に曰く、
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易経・姤卦金柅に系ぐとは、柔道牽(ひ)けばなり。包に魚有りとは、義として賓に及ぼさざるなり。其の行くこと次且たるは、行きて未だ牽かれざるなり。魚无きの凶とは、民に遠ざかればなり。九五の章を含むは、中正なればなり。天より隕つる有りとは、志命を舎(す)てざるなり。其の角に姤ふとは、上窮まりて吝なり。
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易経・萃卦乃ち乱れ乃ち萃まるとは、其の志乱るるなり。引かるれば吉にして咎无しとは、中未だ変ぜざればなり。往けば咎无しとは、上巽(したが)へばなり。大吉にして咎无しとは、位当らざればなり。萃むるに位有りとは、志未だ光いならざるなり。齎咨涕洟すとは、未だ上に安んぜざるなり。
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