易経 / 序卦
《晉》者,進也。進必有所傷,故受之以《明夷》。夷者,傷也。傷於外者必反於家,故受之以《家人》。家道窮必乖,故受之以《睽》。《睽》者,乖也。乖必有難,故受之以《蹇》。
書き下し
晋とは、進むなり。進めば必ず傷る所有り、故に之を受くるに明夷(めいい)を以てす。夷とは、傷るなり。外に傷る者は必ず家に反(かえ)る、故に之を受くるに家人を以てす。家道窮すれば必ず乖(そむ)く、故に之を受くるに睽(けい)を以てす。睽とは、乖くなり。乖けば必ず難有り、故に之を受くるに蹇(けん)を以てす。
現代語訳
晋とは、進み昇ることです。進めば必ず傷つくところがあります。だから次に明夷の卦を置きます。夷とは、傷つくことです。外で傷ついた者は、必ず家へ帰ります。だから次に家人の卦を置きます。家のあり方が行き詰まれば、必ず互いに背き合います。だから次に睽の卦を置きます。睽とは、背き合うことです。背き合えば必ず困難が生じます。だから次に蹇の卦を置きます。
解説
進み出れば必ずどこかで傷つき(明夷)、外で傷ついた者は家へ帰り(家人)、その家のあり方が行き詰まれば身近な者どうしが背き合い(睽)、背き合いは必ず困難を呼ぶ(蹇)。前へ出ることの代償と、退いた先の家庭にも生じる摩擦とを、続けざまに描いた一節です。明夷は明るさが地の下に沈む形とされ、才ある者が傷つき身を隠す状況を示すとされてきました。ここで注目したいのは、外で受けた傷が家の中の不和として現れる、という筋道です。仕事で消耗した人が、家庭や身内のチームでぶつかってしまうのは、珍しいことではありません。外の傷を外だけで完結させず、帰る場所を整えることの大切さ。そして身近な相手との食い違いを放っておくと、やがて動きの取れない困難に変わっていくという警告として読めます。