易経 / 序卦
物不可以終過,故受之以《坎》。《坎》者,陷也。陷必有所麗,故受之以《離》。《離》者,麗也。有天地然後有萬物,有萬物然後有男女,有男女然後有夫婦,有夫婦然後有父子,有父子然後有君臣,有君臣然後有上下,有上下然後禮義有所錯。
新字:物不可以終過,故受之以《坎》。《坎》者,陥也。陥必有所麗,故受之以《離》。《離》者,麗也。有天地然後有万物,有万物然後有男女,有男女然後有夫婦,有夫婦然後有父子,有父子然後有君臣,有君臣然後有上下,有上下然後礼義有所錯。
書き下し
物は以て終に過ぐべからず、故に之を受くるに坎(かん)を以てす。坎とは、陥るなり。陥れば必ず麗(つ)く所有り、故に之を受くるに離を以てす。離とは、麗くなり。天地有りて然る後に万物有り、万物有りて然る後に男女有り、男女有りて然る後に夫婦有り、夫婦有りて然る後に父子有り、父子有りて然る後に君臣有り、君臣有りて然る後に上下有り、上下有りて然る後に礼義措(お)く所有り。
現代語訳
物事はいつまでも度を越したままではいられません。だから次に坎の卦を置きます。坎とは、落ち込むことです。落ち込めば、必ず何かに寄りつくところが出てきます。だから次に離の卦を置きます。離とは、寄りつくことです。天と地があって、その後に万物があります。万物があって、その後に男と女があります。男と女があって、その後に夫婦があります。夫婦があって、その後に親子があります。親子があって、その後に君主と臣下があります。君臣があって、その後に上下の別があります。上下の別があって、その後に礼儀の置きどころができます。
解説
度を越した行いは続かず、やがて穴に落ち込む(坎)。しかし落ち込んだ者は、何かに寄りかかり寄りつくことで光を得る(離)。ここで上経の三十卦が結ばれ、続いて下経の冒頭を導くために、天地から万物、男女、夫婦、親子、君臣、上下、そして礼義へと広がっていく人間関係の系譜が語られます。自然の秩序から人の世の秩序が生まれてくる筋道を、一続きの連なりとして示した部分です。ここで語られているのは、人の関係は突然にできるのではなく、より基礎的な関係の上に積み重なって成り立つという見方です。組織のルールや礼儀作法も、いきなり規則として降ってくるのではなく、日々の具体的な関係の積み重なりの上にしか根づきません。上下や役割を整える前に、その土台となる関係が結べているかを見直す。そんな順序の確認として読むことができます。