易経 / 序卦
有大者不可以盈,故受之以《謙》。有大而能謙必豫,故受之以《豫》。豫必有隨,故受之以《隨》。以喜隨人者必有事,故受之以《蠱》。《蠱》者,事也。有事而後可大,故受之以《臨》。
新字:有大者不可以盈,故受之以《謙》。有大而能謙必予,故受之以《予》。予必有随,故受之以《随》。以喜随人者必有事,故受之以《蠱》。《蠱》者,事也。有事而後可大,故受之以《臨》。
書き下し
大を有つ者は以て盈つべからず、故に之を受くるに謙を以てす。大を有ちて能く謙なれば必ず豫(よろこ)ぶ、故に之を受くるに豫を以てす。豫べば必ず随(したが)うこと有り、故に之を受くるに随を以てす。喜びを以て人に随う者は必ず事有り、故に之を受くるに蠱(こ)を以てす。蠱とは、事なり。事有りて而る後に大なるべし、故に之を受くるに臨を以てす。
現代語訳
大きなものを持つ者は、いっぱいに満ち足りて驕ってはなりません。だから次に謙の卦を置きます。大きなものを持ちながらよくへりくだることができれば、必ず和らぎ楽しむことになります。だから次に豫の卦を置きます。楽しみ和らげば、必ず付き従う者が出てきます。だから次に随の卦を置きます。喜んで人に付き従う者には、必ず処理すべき事柄が生じます。だから次に蠱の卦を置きます。蠱とは、なすべき事のことです。事があって、その後にはじめて大きくなれます。だから次に臨の卦を置きます。
解説
大きなものを手にした者が満ち足りて驕らず、へりくだる(謙)と、周囲との関係が和らいで喜びが生まれ(豫)、喜びのあるところには人が付き従い(随)、人が付き従えば必ず片づけるべき厄介ごとが積み上がり(蠱)、その仕事をこなしてはじめて器が大きくなり臨む立場に立つ(臨)。持てる者ほど低く構えよ、という戒めから始まって、最後は「事を背負う」ことへ行き着くのがこの一連の妙味です。蠱は皿の中に虫がわくさまを表すとされ、放置された澱みを片づける意味を帯びています。人が集まれば必ず面倒が生まれる。それは人望の失敗ではなく、むしろ人が集まった証拠です。慕われた分だけ持ち込まれる相談や不始末を、嫌がらずに引き受けて処理していく。その積み重ねが、人の上に立つだけの厚みをつくっていきます。