易経 / 序卦
有天地,然後萬物生焉。盈天地之間者唯萬物,故受之以《屯》。《屯》者,盈也。屯者,物之始生也。物生必蒙,故受之以《蒙》。《蒙》者,蒙也,物之稺也。物稺不可不養也,故受之以《需》。
新字:有天地,然後万物生焉。盈天地之間者唯万物,故受之以《屯》。《屯》者,盈也。屯者,物之始生也。物生必蒙,故受之以《蒙》。《蒙》者,蒙也,物之稺也。物稺不可不養也,故受之以《需》。
書き下し
天地有りて、然る後に万物生ず。天地の間に盈つる者は唯だ万物のみ、故に之を受くるに屯(ちゅん)を以てす。屯とは、盈つるなり。屯とは、物の始めて生ずるなり。物生ずれば必ず蒙(もう)なり、故に之を受くるに蒙を以てす。蒙とは、蒙(おお)わるるなり、物の稺(わか)きなり。物稺ければ養わざるべからざるなり、故に之を受くるに需(じゅ)を以てす。
現代語訳
天と地があって、その後に万物が生まれます。天地のあいだに満ちているのは万物にほかならない。だから乾・坤に続けて屯の卦を置きます。屯とは満ち塞がることです。また屯とは、物がはじめて生まれ出ることです。物が生まれれば必ず幼くて物事に暗い。だから次に蒙の卦を置きます。蒙とは覆われて暗いこと、物がまだ幼いことです。幼いものは養わないわけにはいきません。だから次に需の卦を置きます。
解説
序卦伝は、六十四卦がなぜこの順番に並ぶのかを、一つの状態が次の状態を呼び込む連鎖として説いた文章です。その冒頭にあたるこの一節は、天地があって万物が生まれ、生まれたばかりのものは力が満ちながらも動きにくく(屯)、幼いものは物事に暗く(蒙)、暗く幼いままでは育たないので養い待つ(需)、という流れを示します。屯は芽が地面を押し上げようともがく姿、蒙は霧に包まれた未熟さ、需は養いと待機の時間を表す卦とされてきました。新規事業の立ち上げや新人の育成を思い浮かべると、この連鎖は身近に感じられます。始まりがもたつくのは異常事態ではなく、生まれたてのものが必ず通る段階だということです。焦って成果を急ぐより、分からないことを分からないと認め、学ぶ時間と養う時間を確保する。順序を飛ばさないことが、結局は次の段階へ進む近道になります。