易経 / 説卦
坎為水,為溝瀆,為隱伏,為矯輮,為弓輪。其於人也,為加憂,為心病,為耳痛,為血卦,為赤。其於馬也,為美脊,為亟心,為下首,為薄蹄,為曳。其於輿也,為多眚,為通,為月,為盜。其於木也,為堅多心。
新字:坎為水,為溝瀆,為隠伏,為矯輮,為弓輪。其於人也,為加憂,為心病,為耳痛,為血卦,為赤。其於馬也,為美脊,為亟心,為下首,為薄蹄,為曳。其於輿也,為多眚,為通,為月,為盗。其於木也,為堅多心。
書き下し
坎は水と為し、溝瀆と為し、隱伏と為し、矯輮と為し、弓輪と為す。其の人に於けるや、加憂と為し、心病と為し、耳痛と為し、血卦と為し、赤と為す。其の馬に於けるや、美脊と為し、亟心と為し、下首と為し、薄蹄と為し、曳と為す。其の輿に於けるや、多眚と為し、通と為し、月と為し、盜と為す。其の木に於けるや、堅くして心多しと為す。
現代語訳
坎は水にあて、みぞや堀にあて、隠れ伏すことにあて、木をためて曲げることにあて、弓や車輪にあてる。人についていえば、憂いが重なること、心の病、耳の痛みにあて、血の卦とし、赤にあてる。馬についていえば、背筋の美しい馬、気のせく馬、頭を垂れる馬、蹄の薄い馬、足を引きずる馬にあてる。車についていえば、故障や災いの多いことにあて、また通じることにあて、月にあて、盗みにあてる。木についていえば、堅くて芯の多いものにあてる。
解説
坎は水であり、みぞであり、隠れ伏すことであり、木をためて曲げることです。芯にあるのは、低いところへ落ち込み、険しく難儀するという性格です。だから人については憂いや心の病があてられ、車については故障の多さがあてられます。ただ、ここで注意したいのは、坎が悪一色では描かれていないことです。同じ坎に「通じる」があてられ、堅くて芯の多い木があてられている。水は低きに流れて難所を作りますが、同時にどこへでも通り抜けていく力でもあり、たわめられた木は弓や車輪という有用なものになります。困難の卦は、鍛えられて芯ができる卦でもあるのです。世界を八つの働きで分類するこの思考法は、苦しい局面にも固有の働きがあることを教えます。うまくいかない時期を、ただ避けるべき厄として見るのではなく、芯を作る過程として引き受ける。坎の象は、そういう身の処し方を示唆しています。
この章句が説くこと
坎水険難八卦の象
関連する章句
-
易経・坎卦周易 第二十九卦。坎下坎上。易経。習坎は、孚有り、維れ心亨る。行けば尚ばるる有り。初六、習坎、坎窞に入る、凶。九二、坎に険有り、求めて小しく得。六三、来たるも之くも坎坎たり、険にして且つ枕す、坎窞に入る、用うる勿かれ。六四、樽酒簋弐、缶を用う、約を納るるに牖よりす、終に咎无し。九五、坎盈たず、祗に既に平らかなり、咎无し。上六、係ぐに徽纆を用い、叢棘に寘く、三歳まで得ず、凶。彖に曰く、
-
易経・坎卦習坎にして坎に入るとは、道を失いて凶なるなり。求めて小しく得とは、未だ中を出でざるなり。来たるも之くも坎坎たりとは、終に功无きなり。樽酒簋弐とは、剛柔際わるなり。坎盈たずとは、中未だ大ならざるなり。上六道を失う、凶なること三歳なり。
-
易経・説卦乾は、健なり。坤は、順なり。震は、動なり。巽は、入なり。坎は、陷なり。離は、麗なり。艮は、止なり。兌は、說なり。乾は馬と為す。坤は牛と為す。震は龍と為す。巽は雞と為す。坎は豕と為す。離は雉と為す。艮は狗と為す。兌は羊と為す。乾は首と為す。坤は腹と為す。震は足と為す。巽は股と為す。坎は耳と為す。離は目と為す。艮は手と為す。兌は口と為す。
-
易経・説卦乾は天と為し、圜と為し、君と為し、父と為し、玉と為し、金と為し、寒と為し、冰と為し、大赤と為し、良馬と為し、老馬と為し、瘠馬と為し、駁馬と為し、木果と為す。坤は地と為し、母と為し、布と為し、釜と為し、吝嗇と為し、均と為し、子母牛と為し、大輿と為し、文と為し、眾と為し、柄と為し、其の地に於けるや黑と為す。
-
易経・説卦離は火と為し、日と為し、電と為し、中女と為し、甲冑と為し、戈兵と為す。其の人に於けるや、大腹と為す。乾卦と為し、鱉と為し、蟹と為し、蠃と為し、蚌と為し、龜と為す。其の木に於けるや、科ありて上槁ると為す。艮は山と為し、徑路と為し、小石と為し、門闕と為し、果蓏と為し、閽寺と為し、指と為し、狗と為し、鼠と為し、黔喙の屬と為す。其の木に於けるや、堅くして節多しと為す。兌は澤と為し、少女と為し、巫と為し、口舌と為し、毀折と為し、附決と為す。其の地に於けるや、剛鹵と為す。妾と為し、羊と為す。
-
易経・彖伝「習坎」は、重険なり。水流れて盈たず。険を行きて其の信を失わず。「維れ心亨る」とは、乃ち剛中なるを以てなり。「行けば尚ばるること有り」とは、往きて功有ればなり。天の険は、陞るべからず。地の険は、山川丘陵なり。王公は険を設けて以て其の国を守る。険の時用大なるかな。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る