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易経 / 文言

《乾》「元」者,始而亨者也。「利貞」者,性情也。乾始能以美利利天下,不言所利,大矣哉!大哉乾乎!剛健中正,純粹精也。六爻發揮,旁通情也。「時乘六龍」、以「御天」也,「雲行雨施」、天下平也。君子以成德為行,日可見之行也。「潛」之為言也,隱而未見,行而未成,是以君子「弗用」也。

新字:《乾》「元」者,始而亨者也。「利貞」者,性情也。乾始能以美利利天下,不言所利,大矣哉!大哉乾乎!剛健中正,純粋精也。六爻発揮,旁通情也。「時乗六竜」、以「御天」也,「雲行雨施」、天下平也。君子以成徳為行,日可見之行也。「潜」之為言也,隠而未見,行而未成,是以君子「弗用」也。

書き下し

《乾》の「元」とは、始めにして亨る者なり。「利貞」とは、性情なり。乾の始めは能く美利を以て天下を利し、利する所を言わず、大なるかな。大なるかな乾や。剛健中正、純粹にして精なり。六爻發揮して、旁く情に通ず。「時に六龍に乘りて」、以て「天を御す」なり。「雲行き雨施して」、天下平らかなり。君子は德を成すを以て行と為し、日々に見るべきの行なり。「潛」の言たるや、隱れて未だ見れず、行いて未だ成らず、是を以て君子は「用いざる」なり。

現代語訳

乾の元とは、はじまりであってそのまま通じてゆくものである。利貞とは、乾のもって生まれた性質と情である。乾のはじまりは、すぐれた利益によって天下を利することができるのに、どこを利したとは言わない。なんと大きなことか。大いなるかな乾よ。剛く健やかで、中正であり、まじりけがなく純粋そのものである。六つの爻が展開して、広くものごとの実情に通じる。「時に六匹の龍に乗って」、それによって「天を御する」のである。「雲がゆき雨が降り注いで」、天下は平らかになる。君子は徳を成し遂げることを行いとする。それは日々に目に見えるかたちで現れる行いである。「潜む」という言葉は、隠れてまだ現れず、行っていてもまだ成っていないことをいう。だから君子はまだ「用いない」のである。

解説

乾の四徳を、あらためて大きな視野から讃える一段です。とくに味わい深いのは、乾のはたらきは天下を大いに利しながら、どこを利したとは言わない、という一句でしょう。天は雲を行かせ雨を降らせて万物を養いますが、恩を着せることをしません。功績を数え上げないところにこそ、その大きさがあるという見方です。組織の上に立つ人にとって、これは静かな戒めになります。自分の手柄を言い立てはじめた瞬間、はたらきは小さくなる。続いて、君子は徳を成すことを行いとし、それは日々目に見える行いとして現れる、と述べられます。徳は心構えの話ではなく、毎日の振る舞いに出るものだというのです。そして最後に潜龍の解説が置かれます。隠れてまだ現れず、行っていてもまだ成っていない。だから用いない。成っていないものを成ったふりで押し出さない誠実さが、ここでは求められています。

この一句を、あなたの毎日に。

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