易経 / 繋辞下
能說諸心,能研諸侯之慮,定天下之吉凶,成天下之亹亹者,是故,變化云為,吉事有祥,象事知器,占事知來。天地設位,聖人成能。人謀鬼謀,百姓與能。八卦以象告,爻彖以情言,剛柔雜居,而吉凶可見矣。
新字:能説諸心,能研諸侯之慮,定天下之吉凶,成天下之亹亹者,是故,変化云為,吉事有祥,象事知器,占事知来。天地設位,聖人成能。人謀鬼謀,百姓与能。八卦以象告,爻彖以情言,剛柔雑居,而吉凶可見矣。
書き下し
能く諸を心に説ばしめ、能く諸を侯の慮に研き、天下の吉凶を定め、天下の亹亹たる者を成す。是の故に、変化云為あれば、吉事に祥有り。事を象りて器を知り、事を占いて来を知る。天地位を設けて、聖人能を成す。人謀り鬼謀りて、百姓能に与る。八卦は象を以て告げ、爻彖は情を以て言う。剛柔雑り居りて、吉凶見るべし。
現代語訳
よく人の心を喜ばせ、よく人の思慮を研ぎ澄まし、天下の吉凶を定め、天下のたゆまぬ営みを成し遂げさせる。だからこそ、変化があり言動があれば、良い事にはその前ぶれがあらわれる。物事をかたどれば道具のありようを知り、物事を占えば来たるべきことを知る。天と地とがそれぞれの位を設け、聖人がそのはたらきを成し遂げる。人が謀り、目に見えぬところにも問い、そうして万民もそのはたらきに与ることができる。八卦は象によって告げ、爻辞と彖辞は情によって語る。剛と柔とが入り混じって並び、そこに吉凶があらわれるのである。
解説
易のはたらきを総括的に述べた一段です。人の心を喜ばせ、思慮を研ぎ澄まし、迷いに決着をつけ、たゆまぬ営みを成し遂げさせる。ここで語られる易は、未来を言い当てる装置というより、考えを深め、決断を助ける道具として描かれています。「事を象りて器を知る」とあるように、物事のかたちを捉えれば、それにふさわしい形や仕組みが見えてくる。「人謀り鬼謀りて」という一句も味わい深いところです。人の知恵を尽くして謀り、そのうえでなお見通せない領域についても問いを立てる。人事を尽くしたうえで、自分の見落としを疑うという謙虚さがここにあります。そして八卦は象によって告げ、辞は情によって語る。示されるのは断定ではなく、読み取るべき手がかりです。仕事に置き換えれば、データや兆候は答えを教えてくれるのではなく、考える材料を与えてくれる。決めるのは自分であり、その決断の質を高めるために型を使うのだと理解したいところです。