易経 / 繋辞下
易之為書也,原始要終,以為質也,六爻相雜,唯其時物也,其初難知,其上易知,本末也,初辭擬之,卒成之終,若夫雜物撰德,辨是與非,則非其中爻不備。噫,亦要存亡吉凶,則居可知矣,知者觀其彖辭,則思過半矣。
新字:易之為書也,原始要終,以為質也,六爻相雑,唯其時物也,其初難知,其上易知,本末也,初辞擬之,卒成之終,若夫雑物撰徳,辨是与非,則非其中爻不備。噫,亦要存亡吉凶,則居可知矣,知者観其彖辞,則思過半矣。
書き下し
易の書たるや、始めを原ね終わりを要むるを以て質と為す。六爻相雑わるは、唯だ其の時の物なり。其の初めは知り難く、其の上は知り易きは、本末なればなり。初めの辞は之に擬し、卒に之を終わりに成す。若し夫れ物を雑え徳を撰び、是と非とを弁ずるは、則ち其の中爻に非ざれば備わらず。噫、亦た存亡吉凶を要むれば、則ち居ながらにして知るべし。知者は其の彖辞を観れば、則ち思い半ばに過ぎん。
現代語訳
易という書は、初めをたずね終わりを求めることを、その本質としている。六つの爻が入り混じるのは、ただその時々のありようを示すものにすぎない。初爻は知りにくく、上爻は知りやすい。始まりと終わりの違いだからである。初爻の辞はまだ推し量るにとどまり、上爻に至ってようやく終わりとして結実する。もし物事を取り混ぜ、徳のありようを選び分け、是と非とを見分けようとするなら、中間の爻がなければ十分ではない。ああ、存亡吉凶の要点を求めようとするなら、じっと居ながらにして知ることもできる。知者は彖辞を観れば、それだけで思案の半ば以上は済むであろう。
解説
卦を読むときの構造を説いた一段です。易は「始めを原ね終わりを要む」、つまり物事の始まりと終わりを通して見ることを本質とします。六つの爻は、その時々の局面を並べたものにすぎません。初爻はまだ形が見えないので判じにくく、上爻は結果が出ているので判じやすい。当然のことのようですが、大切な指摘です。物事は始まりにおいて最も見えにくく、終わってからは誰でも分かるのです。だからこそ、中間の爻が要になります。是非を見分け、徳のありようを選び分ける実質的な作業は、中間の局面でこそ行われる。まだ結果は出ていないが、方向は見え始めている。その段階が勝負どころだというわけです。仕事に置き換えれば、企画の立ち上げは霧の中、終わってからの反省は誰でもできる。本当に判断力が問われるのは、走り出して手応えが見え始めた中盤です。そこで是非を見極められるかどうかが、結末を左右します。