易経 / 繋辞下
子曰:「顏氏之子,其殆庶幾乎?有不善未嘗不知,知之未嘗復行也。易曰:『不遠復,无祇悔,元吉。』」天地絪縕,萬物化醇,男女構精,萬物化生,易曰:『三人行,則損一人;一人行,則得其友。』言致一也。
新字:子曰:「顔氏之子,其殆庶幾乎?有不善未嘗不知,知之未嘗復行也。易曰:『不遠復,无祇悔,元吉。』」天地絪縕,万物化醇,男女構精,万物化生,易曰:『三人行,則損一人;一人行,則得其友。』言致一也。
書き下し
子曰く、「顔氏の子、其れ殆ど庶幾からんか。不善有れば未だ嘗て知らずんばあらず、之を知れば未だ嘗て復び行わず。易に曰く、『遠からずして復る。祇いに悔ゆること无し。元吉』」と。天地絪縕として、万物化醇し、男女精を構えて、万物化生す。易に曰く、「三人行けば則ち一人を損し、一人行けば則ち其の友を得」とは、一を致すを言うなり。
現代語訳
孔子はいわれた。「顔氏の子は、ほとんど道に近づいた者というべきだろう。よくないことがあれば、必ずそれに気づき、気づいたなら二度と繰り返さなかった。易に『遠くまで行かないうちに立ち返る。大きく悔いることはない。大いに吉である』とあるとおりだ」と。天と地の気が交わり合って、万物は熟し成り、男女が精を交えて、万物は生まれ育つ。易に「三人で行けば一人を減らし、一人で行けばその友を得る」とあるのは、一つになることを言ったものである。
解説
前半は、過ちからの立ち返りを説きます。顔回が道に近いとされるのは、過ちを犯さなかったからではありません。過ちに必ず気づき、気づいたら二度と繰り返さなかったからです。復の卦の初爻「不遠復」、遠くまで行かないうちに引き返す、という言葉がそれを裏づけます。人は誰でも道を外れます。問題は外れることではなく、どれだけ早く気づいて戻れるかだというわけです。後半は視点を大きく転じ、天地の気が交わって万物が熟し、男女が交わって生命が生まれると述べます。そして損の六三「三人行けば一人を損す」を引き、二つが一つに向き合うことでこそ生成が起きるのだと説きます。三人では気が散り、一人では孤立する。ちょうど二つが向き合うとき、力は集中します。仕事に置き換えれば、軌道修正は早いほど傷が浅く、協働は関わる人数を絞るほど深くなる。早く戻ること、絞って向き合うこと。この二つが生む力は、思いのほか大きいものです。
この章句が説くこと
不遠復顔回天地絪縕致一
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