易経 / 繋辞上
乾之策,二百一十有六;坤之策,百四十有四,凡三百有六十,當期之日。二篇之策,萬有一千五百二十,當萬物之數也。是故,四營而成易,十有八變而成卦。八卦而小成,引而伸之,觸類而長之,天下之能事畢矣。顯道神德行,是故可與酬酢,可與祐神矣。子曰:「知變化之道者,其知神之所為乎。」
新字:乾之策,二百一十有六;坤之策,百四十有四,凡三百有六十,当期之日。二篇之策,万有一千五百二十,当万物之数也。是故,四営而成易,十有八変而成卦。八卦而小成,引而伸之,触類而長之,天下之能事畢矣。顕道神徳行,是故可与酬酢,可与祐神矣。子曰:「知変化之道者,其知神之所為乎。」
書き下し
乾の策は、二百一十有六。坤の策は、百四十有四。凡そ三百有六十、期(き)の日に当たる。二篇の策は、万有一千五百二十、万物の数に当たる。是の故に、四たび営みて易を成し、十有八変して卦を成す。八卦にして小成し、引きて之を伸べ、類に触れて之を長ずれば、天下の能事畢(おわ)る。道を顕わし徳行を神にす。是の故に与に酬酢(しゅうさく)すべく、与に神を祐(たす)くべし。子曰く、「変化の道を知る者は、其れ神の為す所を知るか」と。
現代語訳
乾の策の数は二百十六、坤の策の数は百四十四、合わせて三百六十となり、ちょうど一年の日数にあたる。上下二篇の策の数は一万一千五百二十で、万物の数にあたる。だから四たびの操作をして一つの変化を成し、十八回の変化を経て一つの卦が成る。八卦ができたところで小さな完成となり、それを引き伸ばし、種類ごとに広げてゆけば、天下のなしうる事はすべて尽くされる。こうして道は明らかに現れ、徳のはたらきは測りがたいものとなる。だからこそ、これと問答を交わすことができ、これとともに目に見えぬはたらきを助けることができる。先生が言われた。「変化の道を知る者は、その測りがたいはたらきの為すところを知る者であろう」と。
解説
筮の結果として得られる策の数が、一年の日数や万物の数に対応する、と説く一段です。乾の二百十六と坤の百四十四を合わせて三百六十、これが一年に重なる。数字の一致そのものより、易という体系が天地のめぐりを写し取る器として組まれている、という設計思想を読み取るべきところでしょう。後半の「引而伸之、触類而長之」が実践的です。八卦という基本形はごく小さな完成にすぎず、それを引き伸ばし、似たものに触れて広げていくことで、はじめて天下の事に応じられる。原理は少数でよく、応用が世界を覆うという考え方です。仕事でも同じことが言えます。原則を数個に絞って身体化し、あとは目の前の事例にそのつど当てはめて広げていく。マニュアルを厚くするより、少数の原則を深く理解するほうが応用がきくのです。締めくくりの「変化の道を知る者」という言葉は、変化を予言する者ではなく、変化の筋道を読める者を指しています。