易経 / 象伝
水在火上,既濟;君子以思患而豫防之。
新字:水在火上,既済;君子以思患而予防之。
書き下し
水火上に在るは既済なり、君子は以て患を思ひて豫め之を防ぐ。
現代語訳
水が火の上にある、これが既済の形である。君子はこれにならって、やがて起こりうる憂いを思いはかり、あらかじめそれを防いでおく。
解説
既済の卦は、下が火、上が水という形です。火の上に水をかけた鍋が据えられ、水は下へ、火は上へと働いて互いにかみ合っている。物事がすべて整い、成し遂げられた状態を意味します。しかし象伝は、ここで祝いの言葉を述べません。君子はやがて訪れる患いを思いはかり、あらかじめ防ぐのだと説きます。整いきった状態とは、これ以上よくなりようがないということでもあり、あとは崩れるほかない危うさを内に抱えているからです。火が強すぎれば水は蒸発し、水が多すぎれば火は消えてしまいます。仕事や経営でいえば、成功した直後こそ最も危ういという教えになります。うまくいっている間は、誰も問題を口にしません。だからこそ、うまくいっている今のうちに、どこから崩れうるかを自ら問い、手を打っておく。完成は終着ではなく、次の危機の始まりでもある。備えを怠らないことが、既済の教える身の処し方です。
この章句が説くこと
易経象伝既済備えあれば憂いなし
関連する章句
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易経・象伝火水上に在るは未済なり、君子は以て慎みて物を辨じ方に居らしむ。
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易経・彖伝「既済(きせい)は亨(とお)る」とは、小なる者の亨るなり。「貞(ただ)しきに利(よ)ろし」とは、剛柔正しくして位當(あ)たればなり。「初め吉なり」とは、柔中を得ればなり。「終わりに止まれば則ち乱る」とは、其の道窮(きわ)まればなり。
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易経・既濟卦周易 第六十三卦。離下坎上。易経。既済は、亨ること小なり。貞に利あり。初めは吉にして終りは乱る。初九、其の輪を曳き、其の尾を濡らす、咎无し。六二、婦其の茀(ふつ)を喪ふ、逐ふ勿かれ、七日にして得ん。九三、高宗鬼方を伐ち、三年にして之に克つ、小人は用ゐる勿かれ。六四、繻(ぬれ)るに衣袽(いじょ)有り、終日戒む。九五、東隣の牛を殺すは、西隣の禴祭(やくさい)の、実に其の福を受くるに如かず。上六、其の首を濡らす、厲ふし。彖に曰く、
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易経・既濟卦其の輪を曳くとは、義として咎无きなり。七日にして得んとは、中道を以てなり。三年にして之に克つとは、憊(つか)るるなり。終日戒むとは、疑ふ所有るなり。東隣の牛を殺すは、西隣の時なるに如かざるなり。実に其の福を受くとは、吉大いに来るなり。其の首を濡らす厲ふしとは、何ぞ久しかるべけんや。
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易経・象伝澤の地に上るは萃なり、君子は以て戎器を除め、不虞を戒む。
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易経・未濟卦其の尾を濡らすとは、亦極(きはみ)を知らざるなり。九二の貞吉は、中以て正を行ふなり。未だ済らず征けば凶とは、位当らざればなり。貞にして吉悔亡ぶとは、志行はるるなり。君子の光とは、其の暉(ひかり)吉なるなり。酒を飲みて首を濡らすとは、亦節を知らざるなり。
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