易経 / 象伝
山上有雷,小過;君子以行過乎恭,喪過乎哀,用過乎儉。
新字:山上有雷,小過;君子以行過乎恭,喪過乎哀,用過乎倹。
書き下し
山上に雷有るは小過なり、君子は以て行ひは恭に過ぎ、喪は哀に過ぎ、用は儉に過ぐ。
現代語訳
山の上で雷が鳴っている、これが小過の形である。君子はこれにならって、ふるまいはうやうやしさにやや過ぎるほどにし、喪においては悲しみにやや過ぎるほどにし、費用の使い方は倹約にやや過ぎるほどにする。
解説
小過の卦は、下が山、上が雷という形です。高い山の上で雷が鳴る光景ですが、山の上ですから雷の音も平地ほど大きくは響きません。小過とは「小さく度を越す」ことを意味します。大きく踏み外すのではなく、あえて少しだけ寄せておく、という按配です。君子はこの理にならい、ふるまいは少しうやうやしすぎるほどに、喪においては少し悲しみが深すぎるほどに、暮らしの費えは少し倹約が過ぎるほどにすると説かれます。どちらかに寄せるなら、控えめで慎ましい側に寄せておくのが安全だ、という知恵です。仕事や経営に置き換えれば、迷ったときの寄せ方の指針になります。礼を尽くしすぎて損をすることは稀ですが、足りなければ人は離れます。見積もりを厳しめに置いて困ることは少なく、甘く置けば資金が尽きます。行きすぎるなら、謙虚と質素の側へ。小さく過ぎるという構えが身を守るというのが、小過の教える身の処し方です。