易経 / 象伝
山上有火,旅;君子以明慎用刑,而不留獄。
書き下し
山上に火有るは旅なり、君子は以て明慎に刑を用ひて、獄を留めず。
現代語訳
山の上に火が燃えている、これが旅の形である。君子はこれにならって明らかに慎重に刑を用い、訴訟を長く滞らせておかない。
解説
旅の卦は、下が山、上が火という形です。山の上を火が移りながら燃えていく光景で、旅とは「たびびと、よそ者としてとどまる」ことを意味します。火は一つところに長くとどまらず、燃え移っては次へ進み、後に留まりません。君子はこの姿にならい、刑を用いるにあたっては明るく慎重に見きわめ、しかも訴えごとを長く滞らせないのだと説かれます。火のように明らかに照らして判断し、火のように速やかに片をつけて引きずらない、ということです。仕事や経営に引き寄せれば、判断と処理の速さの話になります。問題を抱え込んだまま結論を先送りすれば、当事者は宙づりのまま苦しみ、組織全体が澱みます。慎重であることと、遅いこととは違います。よく見て、よく調べ、そのうえで速やかに決めて手放す。旅人が身軽に進むように、余計なものを溜め込まない。それが旅の教える身の処し方です。
この章句が説くこと
易経象伝旅明察と迅速
関連する章句
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易経・旅卦周易 第五十六卦。艮下離上。易経。旅は、小しく亨る、旅は貞にして吉。初六、旅して瑣瑣(ささ)たり、斯れ其の災を取る所なり。六二、旅して次(やど)に即き、其の資を懐(いだ)き、童僕の貞を得。九三、旅して其の次を焚(や)かれ、其の童僕を喪ふ、貞なれども厲ふし。九四、旅して処(を)り、其の資斧を得るも、我が心快からず。六五、雉を射て一矢亡(うしな)ふも、終に以て誉命あり。上九、鳥其の巣を焚かる、旅人先には笑ひ后には号咷(ごうたう)す。牛を易に喪ふ、凶。彖に曰く、
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易経・旅卦旅して瑣瑣たりとは、志窮まりて災あるなり。童僕の貞を得とは、終に尤无きなり。旅して其の次を焚かるとは、亦以て傷(やぶ)るるなり。旅を以て下に与(くみ)す、其の義喪ふなり。旅して処るとは、未だ位を得ざるなり。其の資斧を得るも、心未だ快からざるなり。終に以て誉命ありとは、上逮(およ)ぶなり。旅を以て上に在るは、其の義焚かるるなり。牛を易に喪ふとは、終に之を聞くこと莫きなり。
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易経・彖伝「旅(りょ)は小しく亨(とお)る」とは、柔、中を外に得て、剛に順(したが)い、止まりて明に麗(つ)く。是を以て「小しく亨る、旅は貞(てい)にして吉なり」となり。旅の時義、大なるかな。
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易経・象伝山下に火有るは賁なり、君子は以て庶政を明らかにし、敢えて獄を折むること无し。
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易経・象伝木の上に火有るは鼎なり、君子は以て位を正しくして命を凝らす。
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易経・象伝澤中に火有るは革なり、君子は以て歷を治めて時を明らかにす。
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