易経 / 象伝
雷電皆至,豐;君子以折獄致刑。
新字:雷電皆至,豊;君子以折獄致刑。
書き下し
雷電皆な至るは豐なり、君子は以て獄を折め刑を致す。
現代語訳
雷と稲光がともに至る、これが豊の形である。君子はこれにならって訴訟を裁き定め、罰すべきものに刑を行う。
解説
豊の卦は、下が火、上が雷という形です。稲光がひらめき、雷鳴がとどろき、光と力とがともに至る光景で、豊とは「ゆたか、盛大」を意味します。稲妻は闇を照らして物の姿をはっきりと見せ、雷は響きわたって人を動かします。君子はこの二つにならい、訴えごとを裁くのだと説かれます。すなわち、稲光のように事実を明るく照らし出して見きわめ、そのうえで雷のように断固として処置を下す。明らかにする力と、決断して行う力の両方がそろってはじめて、公正が成り立つのです。仕事や経営でいえば、問題が起きたときの向き合い方にあたります。事実をあいまいにしたまま情で処理すれば示しがつかず、逆に事情も調べずに罰すれば人心が離れます。まず徹底して調べて明らかにし、そのうえでためらわず定めた通りに処する。盛んなときほど規律が要るというのが、豊の教える身の処し方です。