易経 / 象伝
兼山,艮;君子以思不出其位。
書き下し
山を兼ぬるは艮なり、君子は以て思ひ其の位を出でず。
現代語訳
山の上にさらに山が重なっている、これが艮の形である。君子はこれにならって、思いを自らの立場の外にまで及ばせない。
解説
艮の卦は、上も下も山という形です。山の上にまた山が重なり、どっしりと動かない光景で、艮とは「とどまる、止まる」ことを意味します。山は自ら動こうとせず、あるべき場所に静かに在り続けます。君子はこの姿にならい、自分の思いを、自らの立場を越えたところにまでさまよわせないのだと説かれます。これは向上心を捨てることではありません。今この場で果たすべき務めから心を離さない、余計なことに気を散らさないという、集中の教えです。仕事や経営に引き寄せれば、他人の領分に口を出す前に、自分の持ち場を全うできているかを問うことにあたります。人はしばしば、手元の課題から目を背けたいときほど、遠くのことや他人のことを論じたがるものです。思いがあちこちに飛べば、身も止まりません。動くべきときに動くために、止まるべきときには深く止まる。それが艮の教える身の処し方です。
この章句が説くこと
易経象伝艮分を守る
関連する章句
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易経・艮卦周易 第五十二卦。艮下艮上。易経。艮は、其の背に艮(とど)まりて、其の身を獲ず。其の庭に行きて、其の人を見ず、咎无し。初六、其の趾に艮まる、咎无し、永く貞にするに利あり。六二、其の腓(こむら)に艮まる、拯(すく)はずして其れ随ふ、其の心快からず。九三、其の限(こし)に艮まる、其の夤(せぼね)を列(さ)く、厲ふくして心を薫(や)く。六四、其の身に艮まる、咎无し。六五、其の輔(ほほぼね)に艮まる、言序有り、悔亡ぶ。上九、艮まるに敦し、吉。彖に曰く、
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易経・艮卦其の趾に艮まるとは、未だ正を失はざるなり。拯はずして其れ随ふとは、未だ退きて聴かざればなり。其の限に艮まるとは、危ふくして心を薫くなり。其の身に艮まるとは、諸(これ)を躬に止むるなり。其の輔に艮まるとは、中正を以てなり。艮まるに敦きの吉は、厚きを以て終ふればなり。
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易経・彖伝艮(ごん)は、止まるなり。時、止まるべくんば則ち止まり、時、行くべくんば則ち行き、動静其の時を失わざれば、其の道光明なり。「其の止まるに艮(とど)まる」とは、其の所に止まるなり。上下敵応して、相い与(くみ)せざるなり。是を以て「其の身を獲(え)ず、其の庭に行きて、其の人を見ず、咎(とが)なし」となり。
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易経・象伝山の上に水有るは、蹇(けん)なり。君子以て身に反(かえ)りて德を修む。
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易経・象伝天の下に山有るは、遯(とん)なり。君子以て小人を遠ざけ、惡(にく)まずして嚴(げん)なり。
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易経・象伝地中に山有るは謙なり、君子は以て多きを裒め寡なきを益し、物を称りて施しを平らかにす。
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