易経 / 象伝
洊雷,震;君子以恐懼修省。
書き下し
洊りに雷あるは震なり、君子は以て恐懼して修省す。
現代語訳
雷が重なり続けて鳴りわたる、これが震の形である。君子はこれにならって畏れつつしみ、自らの行いを正して省みる。
解説
震の卦は、上も下も雷という形です。雷が続けざまに鳴りわたり、天地を震わせる光景で、震とは「ふるう、おどろく」ことを意味します。雷鳴に接した人は思わず身をすくめ、息をのみます。その一瞬のおののきを、君子は無駄にしません。驚きに縮こまるのでも、やがて慣れて忘れるのでもなく、その畏れをきっかけとして自分の行いを正し、静かに己を省みるのだと説かれます。外の衝撃を、内を整える機会に変えるのです。仕事や経営でも、予期せぬ事故や失敗、市場の急変といった雷は必ず落ちてきます。そのとき慌てふためくだけで終われば、何も残りません。逆に、驚きが去った後で「自分のどこに緩みがあったか」を静かに点検するなら、その一撃は組織を強くする機縁になります。畏れを持ち続ける者は油断せず、油断しない者は倒れにくい。それが震の教える身の処し方です。