易経 / 象伝
澤无水,困;君子以致命遂志。
新字:沢无水,困;君子以致命遂志。
書き下し
澤に水无きは困なり、君子は以て命を致して志を遂ぐ。
現代語訳
沢に水がなく涸れている、これが困の形である。君子はこれにならって、我が身の命を投げうってでも志を遂げようとする。
解説
困の卦は、下が水、上が沢という形です。本来なら水をたたえているはずの沢から、水が下へ漏れ落ちて涸れてしまっている。困とは、力が尽き、行きづまり、身動きがとれなくなった状態を指します。誰にもそういう時期はあります。手を尽くしても報われず、周囲の理解も得られず、頼るものが乏しい。そのようなときに君子はどうするか。命をも懸けて志を遂げる、と象伝は言います。窮したからといって志を曲げるのではなく、外の条件が失われたときこそ、内に持つ志だけが自分を支えるという覚悟です。仕事や経営でも、資金が細り、人が離れ、状況が味方しない局面は訪れます。そこで問われるのは、都合のよいときだけの信念だったのか、それとも困ったときにも手放さない志なのかということです。嘆いて言葉を費やすより、静かに己の志を確かめ直す。それが困の教える身の処し方です。
この章句が説くこと
易経象伝困逆境と志
関連する章句
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易経・彖伝困(こん)は、剛の掩(おお)わるるなり。険にして以て説(よろこ)び、困(くる)しみて其の所を失わず、亨(とお)る、其れ唯(た)だ君子か。「貞(てい)にして大人は吉なり」とは、剛中なるを以てなり。「言うことあるも信ぜられず」とは、口を尚(たっと)べば乃ち窮すればなり。
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易経・困卦周易 第四十七卦。坎下兌上。易経。困は、亨る。貞なる大人は吉にして咎无し。言有るも信ぜられず。初六、臀株木に困しみ、幽谷に入りて、三歳覿(み)ず。九二、酒食に困しむ、朱紱(しゅふつ)方(まさ)に来らんとす、用て亨祀(きょうし)するに利あり、征けば凶、咎无し。六三、石に困しみ、蒺藜(しつり)に拠る。其の宮に入りて、其の妻を見ず、凶。九四、来ること徐徐たり、金車に困しむ、吝なれども終り有り。九五、劓刖(ぎげつ)せらる、赤紱に困しむ、乃ち徐(おもむ)ろに説(よろこ)び有り、用て祭祀するに利あり。上六、葛藟(かつるい)に困しみ、臲卼(げつごつ)に于(お)いてす。曰く、動けば悔ゆと。悔ゆること有りて、征けば吉。彖に曰く、
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易経・困卦幽谷に入るとは、幽にして明らかならざるなり。酒食に困しむとは、中にして慶び有るなり。蒺藜に拠るとは、剛に乗ればなり。其の宮に入りて其の妻を見ずとは、祥(さいはひ)ならざるなり。来ること徐徐たりとは、志下に在るなり。位に当らずと雖も、与(くみ)する有るなり。劓刖せらるとは、志未だ得ざるなり。乃ち徐ろに説び有りとは、中直を以てなり。用て祭祀するに利ありとは、福を受くるなり。葛藟に困しむとは、未だ当らざるなり。動けば悔ゆ、悔ゆること有りとは、吉にして行くなり。
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易経・象伝天地交わらざるは否なり、君子は以て徳を倹にして難を辟け、栄うるに禄を以てすべからず。
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