易経 / 象伝
地中生木,升;君子以順德,積小以高大。
新字:地中生木,升;君子以順徳,積小以高大。
書き下し
地中に木を生ずるは升なり、君子は以て德に順ひ、小を積みて以て高大にす。
現代語訳
地の中から木が生じて伸びていく、これが升の形である。君子はこれにならって徳に順って歩み、小さな積み重ねによって高く大きなものを成し遂げる。
解説
升の卦は、下が風(木)、上が地という形です。地の中に木が根を張り、そこから芽を出して伸び上がっていく光景で、升とは「のぼる、伸びる」ことを意味します。木が伸びる姿は、飛び上がるのでも駆け上がるのでもありません。目には見えないほどゆっくりと、しかし一日も止まることなく、少しずつ高くなっていきます。君子はこの姿にならい、徳の道すじに順って、小さなことを積み重ねながら高大なものへと至るのだと説かれます。無理な近道を探さず、伸びるべき順序を踏むことが要点です。日々の仕事や経営に引き寄せれば、成長とは一夜にして起こるものではなく、正しい方向に沿った小さな行いの累積であるということになります。今日の一歩は目に見えないほど小さくとも、方向さえ違えなければ、年月がそれを高い木に育てます。焦らず、順序を守り、積むことをやめない。それが升の教える身の処し方です。