易経 / 象伝
天下有風,姤;后以施命誥四方。
書き下し
天の下に風有るは姤なり、后は以て命を施し四方に誥ぐ。
現代語訳
天の下を風が吹きわたっている、これが姤の形である。君主はこれにならって命令を発し、国じゅうの四方に広く告げ知らせる。
解説
姤の卦は、上が天、下が風という形をしています。天の下いっぱいに風が吹きわたり、地上のあらゆるものに触れていく光景です。風は姿が見えないのに、隅々まで行き渡り、草木を揺らして必ず届く。上に立つ者の言葉も、本来そうあるべきだというのが、この一句の意味するところです。姤という字は「思いがけず出会う」ことを表します。天と風が出会うように、上の意思と下の人々とが触れ合う場面なのですから、命令は奥に隠さず、広く公けに示さなければなりません。仕事や経営に置き換えれば、方針を決めた後に何をするかという話です。決めただけで伝わったつもりになると、現場には何も届きません。言葉を惜しまず、届く形にして、組織の四方すみずみまで繰り返し行き渡らせる。風のように、静かでも確実に隅々に触れていく伝え方を工夫することが、姤の教える身の処し方です。