易経 / 象伝
風雷,益;君子以見善則遷,有過則改。
書き下し
風雷は、益なり。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過ち有れば則ち改む。
現代語訳
風と雷がともにある、これが益の卦の形である。君子はこの形に学び、善いものを見ればただちにそちらへ移り、過ちがあればただちに改めるのです。
解説
益の卦は、震(雷)の上に巽(風)がある形です。雷が激しく鳴れば風はいっそう強まり、風が吹きつのれば雷はいっそう響く。互いに勢いを与え合って、たがいを増していく。これが益、すなわち増し加えることの意味です。ではその勢いを何に用いるのか。象伝は、見善則遷、有過則改と説きます。よいものを見つけたら、ためらわずそこへ移る。過ちに気づいたら、ためらわず改める。この二つを、雷や風のような速さで行えというのです。人が伸びない理由は、たいてい能力ではなく、この速度にあります。よい手本を見ても、自分のやり方に固執して動かない。誤りを指摘されても、面子が惜しくて認めない。その遅れが、時とともに大きな差になります。仕事や経営でも、他社の優れた工夫を見たら翌日から試す、誤りが分かったらその場で頭を下げて直す。素早く移り、素早く改める人にだけ、益は積み上がっていきます。
この章句が説くこと
益見善則遷有過則改易経
関連する章句
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『五常訓』巻之四・義一善を見ては則ち遷り、過有れば則ち改む。此二句、易の益の卦の文なり。我が行ふ処悪しからざれども、人のいふ事、人の行ふ処、わが行ふ処より、まさりて善なるを見ば、即我が行へる事をば捨てて、少しなりとも優れる方に遷るべし。是を、善を見て即うつると云ふ。いまだ善き事と知らずば、すべきやう無し。既にすべき義と知りて行はざるは、力も無きことなり。是義を見てせざるは勇なき也。過あれば則改むとは、我が行あやまりあらば、即時に早く改むべし。猶予して、我がひが事をかざり、改むるに憚ることなかれ。義を見て遷るは、其工夫かろくして易し。過を改むるは、其工夫おもくして難し。十分に力を用ふべし。たとへばうす白き物を潔白にするは易し。黒き物を白くする事は難きが如し。此二は、即義にうつる道なり。是学問の道のつとむべき処、力行の要なり。
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易経・益卦周易 第四十二卦。震下巽上。易経。益は、往く攸有るに利あり。大川を渉るに利あり。初九、用て大作を為すに利あり、元吉にして咎无し。六二、或いは之を益す、十朋の亀も違ふ克はず、永く貞にして吉。王用て帝に享(まつ)る、吉。六三、之を益すに凶事を用ゐる、咎无し。孚有りて中行し、公に告ぐるに圭(けい)を用ゐる。六四、中行して公に告ぐれば従はる。用て依(よ)ることを為して国を遷すに利あり。九五、孚有りて心を恵む、問ふ勿くして元吉。孚有りて我が徳を恵とす。上九、之を益すこと莫く、或いは之を撃つ。心を立つること恒勿し、凶。彖に曰く、
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易経・象伝風に隨ふは巽なり、君子は以て命を申ねて事を行ふ。
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易経・象伝雷風は、恒なり。君子以て立ちて方を易(か)えず。
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易経・象伝洊りに雷あるは震なり、君子は以て恐懼して修省す。
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『了凡四訓』改過之法・春冰の日に遇ふが如し第三に、須く勇心を發すべし。人の過を改めざるは、多く是れ因循退縮なり。吾須く奮然として振作し、遲疑を用ひず、等待を煩はさざるべし。小なる者は芒刺の肉に在るが如く、速やかに與に抉剔す。大なる者は毒蛇の指を嚙むが如く、速やかに與に斬除し、絲毫の凝滯無し。此れ風雷の益為る所以なり。 是の三心を具ふれば、則ち過有れば斯に改むること、春冰の日に遇ふが如し。何ぞ消えざるを患へんや。 然れども人の過は、事上より改むる者有り、理上より改むる者有り、心上より改むる者有り。工夫同じからず、效驗も亦た異なる。
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