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易経 / 象伝

山下有澤,損;君子以懲忿窒欲。

新字:山下有沢,損;君子以懲忿窒欲。

書き下し

山の下に澤有るは、損なり。君子以て忿(いかり)を懲(こ)らし、欲を窒(ふさ)ぐ。

現代語訳

山の下に沢がある、これが損の卦の形である。君子はこの形に学び、こみあげる怒りを抑えつけ、わき起こる欲望をふさぎとめるのです。

解説

損の卦は、兌(沢)の上に艮(山)がある形です。沢が深く掘り下げられ、その土によって山が高く盛り上がる。下を減らして上に益する、それが損、すなわち減らすことの意味です。減らすと聞くと損失のようですが、易では、正しく減らすことこそが益をもたらすと見ます。では人は何を減らすべきか。象伝の答えは明快です。忿と欲、すなわち怒りと欲望。この二つこそ、人の判断を最も狂わせ、いくら削っても惜しくないものだというのです。仕事や経営でも、大きな失敗の多くは能力不足より、怒りに任せた一言や、欲に駆られた一手から生じます。腹が立ったときにその場で返信を送らない。もうかりそうだという話に飛びつかない。ただそれだけのことで、防げる損失がどれほどあるでしょうか。何かを足すより、余計な感情と欲を削るほうが、はるかに大きく人を高めます。削ることは、立派な投資なのです。

この一句を、あなたの毎日に。

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