易経 / 象伝
雷雨作,解;君子以赦過宥罪。
書き下し
雷雨作(おこ)るは、解なり。君子以て過ちを赦し、罪を宥(ゆる)す。
現代語訳
雷が鳴り雨が降り出す、これが解の卦の形である。君子はこの形に学び、人の過失を赦し、罪を寛大に扱うのです。
解説
解の卦は、坎(水)の上に震(雷)がある形で、張りつめていた大気がついに雷鳴となり、恵みの雨となって降りそそぐ姿を表します。解とは、ほどけること、ゆるむこと。長く続いた緊張や停滞がようやく解ける時です。雨が降れば、こわばっていた大地はゆるみ、草木は芽を吹く。象伝はここから、君子は過ちを赦し、罪を宥す、と説きます。難儀が解けたとき、まず手をつけるべきは、こじれてしまった人の問題をほどくことなのだ、というのです。仕事や経営でも、危機を乗り越えた直後は、犯人探しをしたくなる誘惑が生じます。あの判断が悪かった、あの部署が足を引っ張ったと。しかしそこで責めを重ねれば、せっかくほどけかけた組織の結び目が、また固く締まってしまいます。過失を水に流し、緊張をゆるめ、人を再び立ち上がらせる。緩みは甘えではなく、次に伸びるための回復です。赦すことは、リーダーの積極的な仕事なのです。
この章句が説くこと
解赦過宥罪易経象伝
関連する章句
-
易経・彖伝解(かい)は、険にして以て動き、動きて険を免る、解なり。「解は西南に利ろし」とは、往きて衆を得るなり。「其れ来復すれば吉」とは、乃ち中を得るなり。「往く攸(ところ)有れば夙(はや)くして吉」とは、往きて功有るなり。天地解けて雷雨作(おこ)り、雷雨作りて百果草木皆甲坼(こうたく)す。解の時大なるかな。
-
易経・解卦周易 第四十卦。坎下震上。易経。解は、西南に利あり。往く所无ければ、其れ来り復(かへ)りて吉。往く攸有れば、夙(はや)くして吉。初六、咎无し。九二、田して三狐を獲、黄矢を得、貞にして吉。六三、負ひ且つ乗る、寇の至るを致す、貞なれども吝。九四、而(なんぢ)の拇(おやゆび)を解け、朋至りて斯(ここ)に孚あり。六五、君子維(こ)れ解くこと有り、吉。小人に孚有り。上六、公用(も)つて隼を高墉(こうよう)の上に射る、之を獲て、利あらざる无し。彖に曰く、
-
易経・解卦剛柔の際(まじは)り、義として咎无きなり。九二の貞吉は、中道を得ればなり。負ひ且つ乗るは、亦(また)丑(は)づべきなり。我より戎(じゅう)を致す、又誰をか咎めん。而の拇を解けとは、未だ位に当らざればなり。君子解くこと有りとは、小人退くなり。公用つて隼を射るとは、以て悖(もと)れるを解くなり。
-
易経・象伝雷電皆な至るは豐なり、君子は以て獄を折め刑を致す。
-
易経・象伝山上に雷有るは小過なり、君子は以て行ひは恭に過ぎ、喪は哀に過ぎ、用は儉に過ぐ。
-
易経・象伝洊りに雷あるは震なり、君子は以て恐懼して修省す。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る