易経 / 象伝
雷風,恒;君子以立不易方。
書き下し
雷風は、恒なり。君子以て立ちて方を易(か)えず。
現代語訳
雷と風がともにある、これが恒の卦の形である。君子はこの形に学び、しっかりと立って自分の向かうべき方向を変えないのです。
解説
恒の卦は、震(雷)の下に巽(風)がある形です。雷が鳴れば風が起こり、風が吹けば雷が動く。二つは互いに相手を助けながら、いつの世も変わらず繰り返されてきました。この、変化しつづけることによってこそ変わらない、という逆説が恒、すなわち恒常の意味です。恒とは、じっと固まって動かないことではありません。雷も風も激しく動きますが、その動き方の筋道は変わらない。だから象伝は、君子は立って方を易えずと説きます。方とは、拠って立つ方向、原則のことです。仕事や経営でいえば、やり方は時代に応じていくらでも変えてよい。むしろ変えなければ生き残れません。しかし、何のためにやるのかという方向まで、そのつど風向きで変えてしまえば、その人も会社も信用を失います。手段は柔軟に、方向は不動に。この使い分けができる人が、長く続く仕事をつくるのです。
この章句が説くこと
恒立不易方易経象伝
関連する章句
-
易経・彖伝恒(こう)は、久しきなり。剛上りて柔下る。雷風相与(あいあずか)り、巽(したが)ひて動き、剛柔皆応ずるは、恒なり。「恒は亨る、咎无し、貞しきに利ろし」とは、其の道に久しきなり。天地の道は恒久にして已(や)まざるなり。「往く攸(ところ)有るに利ろし」とは、終れば則ち始め有ればなり。日月は天を得て能く久しく照らし、四時は変化して能く久しく成す。聖人は其の道に久しくして天下化成す。其の恒とする所を観て、天地万物の情見るべし。
-
易経・恒卦周易 第三十二卦。巽下震上。易経。恒は、亨る、咎无し。貞しきに利ろし、往く攸有るに利ろし。初六、恒を浚くす、貞なれども凶、利ろしき攸无し。九二、悔い亡ぶ。九三、其の徳を恒にせず、或いは之に羞を承く、貞なれども吝。九四、田して禽无し。六五、其の徳を恒にして貞なり、婦人は吉、夫子は凶。上六、恒を振るう、凶。彖に曰く、
-
易経・象伝風に隨ふは巽なり、君子は以て命を申ねて事を行ふ。
-
易経・恒卦恒を浚くするの凶は、始めに深きを求むればなり。九二悔い亡ぶとは、能く中に久しければなり。其の徳を恒にせずとは、容るる所无きなり。其の位に非ざるに久しければ、安んぞ禽を得ん。婦人は貞にして吉とは、一に従いて終わればなり。夫子は義を制す、婦に従えば凶なり。恒を振るいて上に在り、大いに功无きなり。
-
易経・象伝風、火より出づるは、家人なり。君子以て言に物有り、而して行いに恒有り。
-
易経・象伝天行は健なり、君子は以て自ら彊めて息まず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る