易経 / 象伝
山上有澤,咸;君子以虛受人。
新字:山上有沢,咸;君子以虚受人。
書き下し
山の上に澤有るは、咸(かん)なり。君子以て虛(きょ)にして人を受く。
現代語訳
山の上に沢がある、これが咸の卦の形である。君子はこの形に学び、心をむなしくして人を受け入れるのです。
解説
咸の卦は、艮(山)の上に兌(沢)がある形です。山の頂がへこんで窪んでいるからこそ、そこに水がたまり、沢となる。咸とは感、すなわち感応することを意味します。人と人とが心を通わせるとき、何が必要かを、この形は静かに教えています。答えは、虚であること。山が自分をへこませて空所をつくらなければ、水はとどまらず流れ去ってしまいます。同じように、人が自説や自負でいっぱいになっていれば、相手の言葉は入ってきません。虚にして人を受くとは、自分を空けて相手を迎え入れることなのです。これは仕事の現場でそのまま使える知恵です。部下の相談を聞きながら反論を組み立てている人には、本音は届きません。顧客の声も、こちらが売りたい話で満ちていれば聞こえない。まず自分の中に余白をつくり、判断を保留して受け止める。人が集まる人、情報が集まる組織は、例外なく低く窪んだ器を持っています。
この章句が説くこと
咸虚受人感応易経
関連する章句
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易経・彖伝咸(かん)は、感なり。柔上りて剛下り、二気感応して以て相与(あいあずか)る。止まりて説(よろこ)び、男女に下る。是を以て「亨る、貞しきに利ろし、女を取(めと)るに吉なり」なり。天地感じて万物化生し、聖人人心を感ぜしめて天下和平なり。其の感ずる所を観て、天地万物の情見るべし。
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易経・咸卦其の拇に咸ずとは、志外に在るなり。凶なりと雖も、居れば吉とは、順えば害あらざるなり。其の股に咸ずとは、亦処らざるなり。志人に随うに在り、執る所下なり。貞なれば吉にして悔い亡ぶとは、未だ感じて害あらざるなり。憧憧として往来すとは、未だ光大ならざるなり。其の脢に咸ずとは、志末なり。其の輔頰舌に咸ずとは、口説を滕ぐるなり。
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易経・咸卦周易 第三十一卦。艮下兌上。易経。咸は、亨る。貞しきに利ろし。女を取れば吉。初六、其の拇に咸ず。六二、其の腓に咸ず、凶、居れば吉。九三、其の股に咸ず、其の随うものを執る、往けば吝。九四、貞なれば吉にして悔い亡ぶ。憧憧として往来すれば、朋爾の思いに従う。九五、其の脢に咸ず、悔い无し。上六、其の輔頰舌に咸ず。彖に曰く、
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易経・象伝地中に山有るは謙なり、君子は以て多きを裒め寡なきを益し、物を称りて施しを平らかにす。
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『洗心洞箚記』卷上・第九十五條説卦に曰く、山沢気を通ず、と。象に曰く、山上に沢有るは咸なり、君子以て虚にして人を受く、と。夫れ山なる者は、実物にして虚に非ざるなり。而るに沢の気其の頂に徹りて、草木滋潤して生育す。是に由りて之を観れば、則ち特だ虚のみ虚為るにあらず、実物と雖も皆虚なり。故に君子其の象を観て、心太虚に帰して、以て天下の善を容るれば、則ち天下の善、皆我が有と為る、豈に亦大ならずや。文字の小異同を争ふ者は、実に同穴の闘鼠なり。然り而して経世の大要に於ては、則ち心を平らかにして以て弁ぜざるべからざるなり。
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易経・象伝山の下に澤有るは、損なり。君子以て忿(いかり)を懲(こ)らし、欲を窒(ふさ)ぐ。
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