易経 / 象伝
明兩作,離;大人以繼明照于四方。
新字:明両作,離;大人以継明照于四方。
書き下し
明、兩つながら作(おこ)るは、離なり。大人以て明を繼ぎて四方を照らす。
現代語訳
明るさが二つ重なって輝き起こる、これが離の卦の形である。大人はこの形に学び、その明るさを絶やさず受け継いで、四方を照らすのです。
解説
離は火であり、日であり、明るさを意味します。離の卦はその離が上下に重なった形で、太陽が沈んでもまた翌朝に昇るように、明るさが次々と継がれていく姿を表します。象伝がここで用いる継明という言葉が要です。火は薪がなければ消え、太陽も一日で燃え尽きるのではなく、日々あらためて昇ってくる。明るさとは、一度手に入れれば永続するものではなく、絶えず継ぎ足されることで保たれるものなのです。だからこそ、上に立つ人はその明を継いで四方を照らすのだと説かれます。仕事や経営に置き換えれば、ここでいう明とは、理念であり、判断の明晰さであり、人を照らす見識のことでしょう。それは自分一代で完結させるものではなく、次の世代へ受け渡していくべきもの。自分が学び続けて曇りを取り、同時に後進に灯を移していく。照らす範囲を広げたいなら、まず自分の火を絶やさぬ工夫をすることです。