易経 / 象伝
雷在地中,復;先王以至日閉關,商旅不行,后不省方。
新字:雷在地中,復;先王以至日閉関,商旅不行,后不省方。
書き下し
雷、地中に在るは、復なり。先王、以て至日に關(かん)を閉ざし、商旅行かず、后(きみ)、方を省みず。
現代語訳
雷が地の中にひそんでいる、これが復の卦の形である。いにしえの王はこの形に学び、冬至の日には関所を閉じて商人や旅人を通行させず、君主自身も地方の巡視に出かけませんでした。
解説
復の卦は、坤(地)の下に震(雷)がある形で、まだ地上には現れないけれども、大地の底で雷の気がひそかに動きはじめている姿を表します。一陽来復という言葉のとおり、これは冬の底で春の兆しが生まれる時であり、その芽はまだきわめて弱い。だからこそ、いにしえの王は冬至の日に関所を閉ざし、人の行き来を止め、自らも巡視をやめて静かに過ごしたのだと象伝は説きます。生まれたばかりの微かな力は、騒がしく動かせば消えてしまう。守るとは、あえて何もしないことでもあるのです。仕事や経営でも同じで、新しい事業の芽、回復しはじめた体調、立ち直りかけたチームの士気などは、まだ力が弱いうちに人目にさらしたり、急いで拡大したりすると簡単に潰れます。復の時にすべきは、静けさを確保し、余計な予定を入れず、芽が自然に育つのを待つこと。休むことが最も積極的な仕事になる局面があると、この一句は教えてくれます。