易経 / 象伝
雷電,噬嗑;先王以明罰敕法。
新字:雷電,噬嗑;先王以明罰勅法。
書き下し
雷電は噬嗑なり、先王は以て罰を明らかにし法を敕す。
現代語訳
雷が鳴り、いなずまが光る、これが噬嗑の形である。先王はこれにならい、罰を明らかに示し、法を正しく整えた。
解説
噬嗑は下に雷、上に火(電)を置き、雷鳴といなずまが同時に走る形です。いなずまは闇を照らして物の姿を明らかにし、雷は轟いて人を震え上がらせます。噬嗑とは噛み合わせること、口の中の障害物を噛み砕くことを意味し、そこから、間を隔てる邪魔なものを断つ働きを表します。象伝は、先王はこれにならって罰を明らかにし、法を整えたといいます。ここで大切なのは、雷の威嚇より先に、いなずまの明るさが置かれていることです。何が悪いのかを照らして示さないまま罰だけを下せば、人は恐れるだけで正されません。罰則は隠さず、基準は事前に、適用は例外なく。組織の規律も同じで、曖昧な運用が最も人心を損ないます。明るさと厳しさを一組にすること。それが噬嗑の説く筋の通し方です。