易経 / 象伝
雷電,噬嗑;先王以明罰敕法。
新字:雷電,噬嗑;先王以明罰勅法。
書き下し
雷電は噬嗑なり、先王は以て罰を明らかにし法を敕す。
現代語訳
雷が鳴り、いなずまが光る、これが噬嗑の形である。先王はこれにならい、罰を明らかに示し、法を正しく整えた。
解説
噬嗑は下に雷、上に火(電)を置き、雷鳴といなずまが同時に走る形です。いなずまは闇を照らして物の姿を明らかにし、雷は轟いて人を震え上がらせます。噬嗑とは噛み合わせること、口の中の障害物を噛み砕くことを意味し、そこから、間を隔てる邪魔なものを断つ働きを表します。象伝は、先王はこれにならって罰を明らかにし、法を整えたといいます。ここで大切なのは、雷の威嚇より先に、いなずまの明るさが置かれていることです。何が悪いのかを照らして示さないまま罰だけを下せば、人は恐れるだけで正されません。罰則は隠さず、基準は事前に、適用は例外なく。組織の規律も同じで、曖昧な運用が最も人心を損ないます。明るさと厳しさを一組にすること。それが噬嗑の説く筋の通し方です。
この章句が説くこと
噬嗑明罰勅法規律易経
関連する章句
-
『韓非子』難三第三十八桓公能く管仲の功を用いて、鉤を射るの怨みを忘る。文公能く寺人の言を聴きて、祛を斬るの罪を棄つ。... 是れ臣讎するに、而も明燭すこと能わず、多く之に資を假すに、自ら以て賢と為して戒めず。
-
『韓非子』飭令第五十三刑を行いて、其の輕き者を重くすれば、輕き者至らず、重き者來たらず。此を刑を以て刑を去ると謂う。
-
『韓非子』十過第十小忠を行うは、則ち大忠の賊なり。
-
『韓非子』飾邪第十九昔者、舜、吏をして鴻水を決せしめしに、令に先だちて功有りて、舜之を殺す。禹、諸侯の君を會稽の上に朝し、防風の君後れて至りて、禹之を斬る。
-
『韓非子』六反第四十六故に法の道為る、前に苦しみて長く利あり。仁の道為る、偷楽しみて後窮す。聖人は其の輕重を權りて、す出づ。故に法の相忍ぶを用いて、仁人の相憐むを棄つるなり。
-
『韓非子』心度第五十四聖人の民を治むるは、本に度り、其の欲を從(ほしいまま)にせしめず、民を利するを期するのみ。故に其の之に刑を與うるは、民を悪む所以に非ず、愛の本なり。