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易経 / 象伝

山下有風,蠱;君子以振民育德。

新字:山下有風,蠱;君子以振民育徳。

書き下し

山下に風有るは蠱なり、君子は以て民を振るい徳を育つ。

現代語訳

山のふもとに風が吹きこもる、これが蠱の形である。君子はこれにならい、民を奮い立たせ、その徳を養い育てる。

解説

蠱は下に風、上に山を置きます。風が山にさえぎられ、吹き抜けずに滞る形です。空気がよどめば物は腐り、虫がわく。蠱という字は器の中で虫がわくさまを表し、長く放置された弊害、積もり積もった乱れを意味します。ここで象伝が説くのは、腐敗を裁くことではなく、民を奮い立たせて徳を育てることでした。よどみを直すには、風を通し、人の気を動かすしかないという見方です。古い慣習や制度の澱みは、規則を増やすだけでは消えません。人が生き生きと動きだせば、澱みは自然に流れます。組織の建て直しも同じでしょう。犯人捜しに時間を使うより、現場を励まし、学びの機会を与え、動ける空気を作る。腐りは人の力の停滞から生まれるのだから、人を立て直すことが根本の処方だと蠱は教えます。

この一句を、あなたの毎日に。

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