易経 / 象伝
澤中有雷,隨;君子以嚮晦入宴息。
新字:沢中有雷,随;君子以嚮晦入宴息。
書き下し
沢中に雷有るは随なり、君子は以て晦に嚮いて入りて宴息す。
現代語訳
沢の中に雷がおさまっている、これが随の形である。君子はこれにならい、日が暮れて暗くなれば家に入り、休み安らぐ。
解説
随は下に雷、上に沢を置き、天を震わせるはずの雷が沢の水の中に静かにおさまっている形です。時が来れば雷は轟き、時が去れば沈む。時の動きにさからわず、それに従う。これが随、すなわちしたがうという卦の意味です。象伝が挙げる例はきわめて日常的で、日が暮れたら家に入って休む、というものでした。当たり前のようでいて、実はこれが随の核心です。昼は働き、夜は休む。自然の周期に自分の生活を合わせることが、時に従うことの第一歩なのです。無理を重ねて夜まで働き続ける人は、時に従っているのではなく時に逆らっています。休むべき時に休むから、動くべき時に雷のように動ける。仕事の質を決めるのは、働いている時間ではなく、休息を含めたリズムの整え方だと随は教えます。