易経 / 象伝
火在天上,大有;君子以遏惡揚善,順天休命。
新字:火在天上,大有;君子以遏悪揚善,順天休命。
書き下し
火の天上に在るは大有なり、君子は以て悪を遏め善を揚げ、天の休命に順う。
現代語訳
火が天の上にあってあまねく照らす、これが大有の形である。君子はこれにならい、悪をおさえとどめ、善を明らかに引き立てて、天の与えたよき命に従う。
解説
大有は下に天、上に火を置き、太陽が天高くかかって地上のすべてを照らす形です。何ひとつ隠れるところがなく、あらゆるものがその光の下にある。だから大有、すなわち大いに有つ、といいます。豊かさや繁栄を表す卦ですが、象伝が説くのは財の増やし方ではありません。悪を抑え、善を明らかにし、天の与えた良き命に従え、というのです。太陽が善悪を分け隔てなく照らすように、上に立つ者もすべてを見通し、隠れた悪を放置せず、埋もれた善を引き上げる。それが豊かさを保つ条件だという見方です。組織が大きくなり、業績が伸びた時ほど、この教えは効きます。見えないところで小さな不正が生まれ、真面目に働く人が報われなくなる。何を罰し何を称えるかを明確に示すことが、繁栄を長続きさせるのです。