易経 / 象伝
風行天上,小畜;君子以懿文德。
新字:風行天上,小畜;君子以懿文徳。
書き下し
風、天上を行くは小畜なり、君子は以て文徳を懿くす。
現代語訳
風が天の上を吹きわたる、これが小畜の形である。君子はこれにならい、文の徳を美しく磨きととのえる。
解説
小畜は下に天、上に風を置き、風が天の上を吹きわたる形です。風は雲を集めますが、この段階ではまだ雨を降らせるには至りません。力を大きく蓄えるのではなく、小さく蓄える。それが小畜という名の意味です。大きなことを成す時が来ていないなら、無理に押し出さない。ではその間に何をするのか。象伝は「文徳を懿くす」と答えます。文とは学問や教養、身のこなしや言葉づかいといった、外に表れる徳のかたちです。それを美しく整えておけ、というのです。実力を発揮できない時期は誰にでもあります。予算が下りない、機が熟さない、任されない。そこで腐って荒れるか、静かに自分を磨くかで、次の局面がまるで違ってきます。文章を整える、知識を深める、所作を正す。目立たない蓄えが、やがて雨を降らせる力になります。